夢日記一覧

透かし彫りの手箱

デパートの画廊の茶道具展に、さる大物作家の品が何点か出品されていた。2点の手箱は蓋に大胆な透かし彫りが入っている。鎌倉彫りのようなレリーフではなく、垂直に切り取られた、ごくシンプルな意匠だ。

全体に黒漆がかけられていて、断面は朱に塗られている。祭器のような感じがする。他の文具は拭漆に浅い彫りと線画が施されていて、これも捨てがたい。Dsc_0085_2

そんなに高くなかったので、ひとつ購入しようと迷いに迷う。

出来れば全部欲しいなあ・・・・というところで、目が覚めた。

くっそ~!!意匠を覚えきらんかった。でも、1点は何とか。矢の模様でした。雰囲気はうっすらと・・・・・いつか再現してみたいものだ。


タンタル2

タンタル2は、百年以上前に開発された、普通ならとっくにお払い箱の、古いタイプの人型ロボットだ。でも、こいつは名作ロボットと呼ばれていて、ちょっとのろまだが、まだまだ、たくさん現役で働いている。

筒のような弾性金属でできた本体に、やっぱり筒のような手足が付いている。指はなんとか五本あるが、バケツのような頭部に付いている顔の作りなんかはぞんざいなもので、眉と口は上下に動くが、耳と鼻は溶接してある。唯一、目は、まばたきは出来ないものの、クルクル動くし、絞りもある。よくみれば表情豊かなのですが。

とはいっても、その顔はどうも地味なもので、私より小さな子供をしかる時は、ブリキの眉を、自分の指で持ち上げるのだった。後ろにいると笑ってしまうし、子供も慣れたもので、その眉を押し下げてしまうのだった。しかし、静かに向き合って、絞り込んだ目で見つめられるときは、少し怖かったものだ。

この、人型ロボットは、ベランダの手すりに手をかけて、じっと遠くを見つめているようなこともあって、そんな時、家の者は、昔、優秀な召使をそっくり輪切りにして解析し、この機械に埋め込んだのだとうわさするのだった。

ある日、私はタンタル2と庭に出ていた。何をしていたかは思い出せないが、タンタルがハイウエイに砂漠狐の子供が迷い込んだのを発見して、走り出した。エアカーは障害物を避けるので危険はないが、狐の子供の恐怖は相当なものだ。

私も走り出したが、すぐに我々の左を疾走してゆく親狐に気が付き、タンタルの脚に飛びついた。タンタルは、もんどりうって倒れた。このロボットは人間のアタックには脆くセットされているのだ。

タンタルはその瞬間、チラリとこちらを睨んだように見えたが、すでに親狐の姿を捉えていたと思う。目は回るし、照れくさいしで、しばらく、表情が作れず、ブリキの眉と目はあべこべに回転していた。それがやっとおさまった頃、砂漠狐は子狐をくわえて走り去っていた。

「坊ちゃん、ひどいじゃないですか!一声掛けてくれればいいものを」

タンタルはひどいオッチョコチョイで、ああでもしないと止まらないのだ。しかし、小さな金網の隙間からどうやって助けるつもりだったのだろう?

「でも、私は嬉しいんです。坊ちゃんが賢く成長したのが」

曲がった眉を慎重に直してから、タンタルは久しぶりに私を肩車して家に入ってお菓子をご馳走してくれたのだった。


不吉な注文

時々、私の個展にみえられるお客さんだ。いつも母娘で、大きなものは買わないが、通好みの品を選ばれる。古びているが、上等の身なりをしている。先代が投機に失敗し、没落した名家だとうわさに聞いた。Dsc_00580001_2

その母上から注文を受けててお宅をたずねた。

朴の木でなにやら薄い板を作っ欲しいとの事。厚さは2mmほどで、笏(シャク)のような形をしている。長さは40cmくらいか。上から少しのところに十字架を透かし彫りにしてほしい・・・・・・・それを少し寸法をかえて二本。

妙に卒塔婆のようではないか。気になって調べてみると、クリスチャンが死後に使うものらしい。そういえば、娘さんが重い病で、生活費にも事欠いていると、最近聞いた。

ひょっとして、自殺、心中!!

私に何が出来る。何か私にシグナルを送っているのか。もう、確定されているのか?謎が謎を呼び・・・・・・・・夢から覚めたのでした。

チャン、チャン。


サイクリング

休みの日に、自転車で遠乗りにでかけた。帰り道は砂利の下りが長々と続く。ブレーキをかけながらドンドン下る。

河の袂に橋があったが、渡らずに河沿いの小道を走り、河原に降りる。やや増水していて、車輪が水につかる。流れは緩やかで危険はない。

水は澄んでいて、とうとう首までつかるが、自転車は何とか進んでゆく。さすが夢だ。ついに全身水没して進む。水中のコンクリートの小さな橋を渡ると道は右回りに上昇してゆく。途中、水没した自動車が2台あってテールランプが点いている。粋なはからいだ。

Dsc_0061 ペダルをこぐと、やっと地上に出る。しばらくすると、子供が三人ほど寄ってくる。一人は坊主頭だ。

よく見ると前は料理屋である。黄色い暖簾に“ことぶき”と書いてある。女将と話をするが、ちょっ出水があったそう。

そういや昔、親父とうなぎを食いに来たっけ。

「今日は、それでも40人くらいのお客(宴会)があるんですよ。」 舟に乗ってくるんかいな。

わたしは、土間の所で、おでんと酒をもらう。

ちょっと歴史小説の読みすぎでこんな夢を見るんか知らん。