木工家専用一覧

蟻掛け吸付き

今日も雑用が多く、殆ど仕事をしなかったな。まだ暑いからいいのだ。

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昨日は、2本足のテーブルの“吸付き”の加工をしていました。

一般の方には分からないと思いますが、この部分がスライドして、テーブルトップの収縮に対応します。

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吸付きの雄・雌の製作は、精密さを要しますので、半日、いや1日かけるつもりで、慎重に行います。このテーブルの強度の要ですので、手を抜く事は出来ません。

溝は、奥に行くに従って、僅かに狭くなって、最後にギュッと締まるようになっています。当然、雄にも勾配を付けます。

しかし、愛媛県の井村工房さんは、「それだと、緩んでくるので、ウチは締まり勾配は取らずに、ギュウギュウ締めつけて入れるんじゃい!」とおっしゃっていました。なるほど、それも一理あります。しかし、加工精度はさらに高度になります。

今のところ、緩んだことはないのですが、先端に取り外し出来る、木製のピンでも打ち込むといいと思いますが、やったことはないな。

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これは、更に一部の木工家にしか分からないと思いますが、仮組した脚の組手を組み立て機と治具をを使って、抜いているところです。本当に便利です。俺は天才か!

しかし、気付くのが遅過ぎました。死ぬまでに、後、何台テーブルの注文があるかな?もうなかったりして・・・・・・十分あり得ます。いや、後一台は、大丈夫です。

明日は、「しもなのアートキャンプ」講師をするので、また仕事はお休みです。


治具作り

こう暑いと、ブログの更新も体力勝負となってきました。まあ、本業は、チョボチョボやっているので、大丈夫なのだ。

今日は、一般の方には意味不明の木工家専用です。

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最近、わりと大がかりな新作に取り組んでいるので、治具作りをしています。失敗すると材料の損失が大きいので、まず、外堀から埋めているような感じです。

新作は、超精密な加工が必要なので、いつもより念入りです。

よく、治具命!みたいに、手をかける人がいますが、私は簡単に済ませます。2度と使わないことが多いですから。この治具も、さほど役に立たないことが分かりました。

お客さんに買ってもらうもんじゃないしな。

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このテンプレートも、ホゾを左右どちらからでも、はめられるよう、高精度です。

黄色いテープは、微妙な直角のズレを修正したものです。

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今回の加工には、ルーターマシンが欠かせません。厚さ6ミリの板に、3ミリの溝を掘るには、剛性の高い機械じゃないと無理です。それでも、なかなか、ど真ん中に通りません。

慎重に進めたんですが、今日も沢山、失敗しました。

多品種少量生産は程々にしないと、身の破滅につながります。しかし、やらずにおれない性分です。

そろそろ、山桜のテーブルを作らないといけないのですが、一気に仕上げないと、勘所を全部忘れてしまいそうです。忘れるのは、大得意ですから。


板剥ぎ

本日は木工家専用です。

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幅1400・奥行600のセンターテーブルの剥ぎ合わせです。ホウの板を4枚使っています。

伝統工芸ならシラタは除くべきでしょうが、そうも言ってられません。

通常はこのように、ブックマッチングの逆で、シラタを内側にして、縁に赤身がくるようにします。縁が丈夫になりますし、見た目もまとまります。

しかし、今回2組の表情が違い過ぎます!

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ほんで、このようにしてみました。まあ、さっきよりは随分ましです。

それでも、この杢は妙に派手で、今にして思えば、別の板でやり直せばよかったと反省しています。でも、もう、今日殆ど出来てしまいました。

このホウなんか、高価な材ではないのですが、丸太から何年もかけて養生したので、捨てるのは忍びないのです。まな板に使えば良かったな・・・・・・・・失敗じゃ。

肘付きのウインザーに苦労し過ぎて、ボケてたのかもしれません。お客様には秘密です。


重い材料は持たれん!

今日は木工家専用です。当工房は、所定の厚さに製材された材料も使いますが、主に丸太買いをしています。

なかでも、直径40㎝、長さ2m程度の小さな丸太は、半割りにして、軽く面取りし、なんとか一人で動かせるような重量に製材してもらいます。

そのまま、立て掛けて、数年乾燥させ、自分のバンドソーで必要な厚さにリッピングして使うようにしています。小径木には有効な方法だと思っています。

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写真はホウの木で、厚みは4寸ほど。それでも重量は30キロを超すと思います。リュックサックならともかく、これを横に抱え込むと、背骨には何倍もの負荷がかかります。

歩かせて移動させることも出来ますが、工房の軒につかえます。

そこで、キャスターを付けた、台車に片側を落とします。

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ほんで、ゴソゴソ引っ張り込みます。当然、工房内に事前に置場所を用意しておきます。

これなら、半分の重量で済みますし、無理な姿勢をとらなくてもいいわけです。コンパネと安物のキャスターで十分です。軽量で簡単に車に載せられるしな。ゴムでもひけば、なお完璧です。

より重量のあるものは、重量キャスターの付いた馬を使います。

皆さん、お腰を大事にして下さいね。


斜めの胴付ホゾ

本日も、一般の人には面白くもなんともない、木工中級コースの話題です。

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こういう、斜めの胴付ホゾは、面倒なのでなるだけ避けたいところですが、お客様に大枚を請求する、悪徳木工家にとって避けて通れないこともあります。

板厚に十分な厚さがあり、量産するのであれば、座刳り付きの2段ドリル刃を兼房に特注したらいいと思います。

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まず、深さをテープで印して、胴付面を切り込みます。

ミニパネルソーがいいです。使い捨て鋸刃は良く切れるのとそうでないのがあるみたいですね。新しく買ったのは切れなくて、これは、もう10年近く使っています。

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アサリのない鋸を使って、指を添えて切り込みます。4面取って、更に4面。さらに、鋸で丸く仕上げます。この鋸も古い方が切れます。

よくノミを使うなどと書かれていますが、内側へ切れ込んでしまうので、絶対に使ってはいけません。

最後に小刀で仕上げますが、存外力が要りますので、誤って指を切らないよう、適当なところで止めましょう。キューピー3分クッキングみたいですね。

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この位だと、万々歳です。裏返してチェックするようなお客様の仕事はしませんから。

普段はあまり使いませんが、胴付面の確保のために、エポキシ接着剤を使います。

もっと楽な方法があったら、教えて下さい。


楽な板剥ぎ術

今日は、半ズボンにTシャツで仕事をしていました。急に夏になりました。

本日のブログは木工上級コースというより、酸いも甘いも経験した、いやらしい実践編です。一般の方は全然意味がわかりません。申し訳ありません。

最近、私のやっている板剥ぎ術です。結構、企業秘密ではありますが、公開します。と言っても、大したことありませんし、大きな工場では普通かもしれません。

接着にはPIボンドを使います。イモ剥ぎです。ビスケットは使いません。面倒ですから。また、ビスケットは案外目違いが出るのも問題です。

圧締には組み立て機は使いません。クランプで目違いが出ないよう締めつけていきます。出来るだけ、段差ゼロを目指します。ただ、クランプは多めに使います。場合によりますが、最近、組み立て機は板剥ぎには向かないような気がしています。

接着、乾燥後、目違いを取るのは、結構大変で、気を抜くと大きな逆むけを起こしてしまいます。また汗も出ます。そこで、片面のみ、ボンドのはみ出しと、目違いを大雑把に取り除きます。

それを、自動鉋盤に板厚より0.30.5ミリ薄くセットして送ります。インバーターの送材スピードは一番遅くします。裏返して同じことを繰り返します。これで完全な平面の出来上がりです。実に簡単です。桑原製の自動鉋盤のお陰ですが、逆目は出ずに、刃が新しければ、超仕上げをかけたようになります。サンディングもすぐ済みます。

ダイニングテーブルの天板のように幅のあるものは、半分ずつ仕上げて、中央は従来のやり方です。この方法を始めて、板剥ぎがウソのように楽になりました。なんで、今まで気が付かなかったのか?

ただ、このやり方は、実用品の家具にはいいのですが、完璧すぎて面白みがなく、工芸品を拭き漆で仕上げる場合などは、味を出すために矢張り手鉋を使います。


3つの殺し文句

このところ、本当に注文がなくて、いよいよ廃業かと思っていた矢先、バタバタと発注があった。も~、お客さん困りますよ、遠慮なく注文して下さいね。当工房はいつでも暇ですよ。

ただ、木工家は大工さんと違って、注文がなくても作り貯めたり、新製品の開発が出来るところが有難いです。

ところで、純粋無垢の私のような木工家であっても、長年、営業マンも兼ねて、仕事をしてきているのですから、そこそこ商売上手にはなります。ここで、悪徳木工家の3つの殺し文句をこっそり教えます。

まずは「孫子の代まで使えます」です。最近は私のように一人者も多いのですが、天涯孤独の紋次郎のように、全く身寄りのない人はいないでしょうから、きっと誰かに譲られてゆくでしょう。これと類似したものに「一生使えます」があるのですが、80歳のお年寄りには、逆効果かもしれません。

次は、ダイニングテーブル等の販売で「毎日旨いビールが飲めますよ!日割にすれば安いもんです」これは大して効果がないような気がします。

3つ目は、当工房は女性のお客様が多いので「服代から比べれば、安いもんでしょう!」です。実際、ご婦人方は高額な服を買って、一度も袖を通さずに、タンスの肥やしになっていることも多々あるのではないでしょうか?これは、少し効果があります。

まあ、はっきり言って、どれも大した効き目はなく“殺し文句”とは名ばかりです。

最後に、番外編で、最近使い始めたやつです。「きっと値上がりしまっせ!」です。これは私のような“面の皮の厚い”人間でないと、なかなか使えないかもしれません。親しいお客様でないと、馬鹿かと思われるかもしれません。どっちにしろ、本気で受け取っては貰えません。

しかし、自慢じゃないが、もうちょっと長生きすれば、あながち可能性のないことじゃないかもしれません。注文するなら今のうちです。


困難なウィンザーチェアー

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今回も、木工旋盤でよく棒を挽きました。5脚分で70本。何だそれだけかって感じです。木工旋盤は奥が深く、もう10年以上、数千本は挽いているのに新たな発見、進歩があります。

ちゅーことは、まだまだヒヨッコということなのか。

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これは、釜でホゾ先を絶対乾燥をしているところ。材料によっては必要ですが、木殺しと絶乾は併用しなくてもいいと思います。もろくなるしな。

写真は、木殺ししてもイマイチきつかったので、絶乾で微調整をする裏技です。寸法精度は葉書の3分の1の厚さ、+-0,1mm位です。結構、神業ですね。

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なんとか、下半分が完成。ウィンザーチェアーは微妙な勘所が多く、困難な製作になります。これ一本で生計を立てている方もいらっしゃるくらいですから。

私の場合、パソコンに記録しているとはいえ、毎回振り出しに戻るようで脳が悲鳴をあげます。かといって、製作物のジャンルを絞ると飯が食えないような気もするし・・・・・・。

木工は、ほんとに難儀な上に身入りの少ない職業です。まあ、楽しくはあるけど。

来世では映画監督を目指します。


子根付きホゾの伝説

本日のブログは木工上級コースのお話しです。一般の方にはわからないし、また解説もしていませんので、全く理解できません。悪しからず。

Dsc_0002 下駄箱は実は今日完成したんですが、話は少しバックします。

これは扉の框組みなんですが、ホゾ幅が短く、普通なら子根を入れたいところではないでしょうか。

残念ながら、私の木工は自己流なので常識を知りません。

Dsc_00026 しかし、余程幅が広いダイニングテーブルのような組手ならともかく、ちょっとの子根が効くような気はしません。実際やってみてそう思います。それよりもホゾを正確に作ることが重要ではないでしょうか。

もし、このような小さな框に子根を掘る場合は、ホゾ穴の流れで角鑿盤で突くのはいけません。正確でないし、ズボズボです。底を整えるにも手間がかかります。年中手道具を使ってる人は楽勝かもしれませんが。

ルーターマシンでホゾ幅よりわずかに狭く、溝を突いてやると決まります。楽だし正確です。でも、そこまでしなくてもいいような気がします。


エアコンとリフターテーブルは必須。

今日は完全に、木工家専用のブログです。

今年の夏は、流石に皆さん暑さと湿気に参っていて、木工仲間のブログにも再三取り上げられています。でも、北国や日本海、アルプスなんかは基本的に違うみたいですね。

当工房では、試験的に、この一ヶ月24時間エアコンをたきっぱなしにしていました。設定温度は25℃で、本体を設置してある2階の20坪が23℃、階下の20坪が27℃くらいでしょうか。

わりと快適です。連続運転すると急激に室温が変化しないので体にも多少やさしいし、電気代もさほどかかりません。夜は空転していることが多いようです。電気代は動力で、他の機械も入れて9900円でした。仕事の能率と、安全性を考えると安いものです。

Dsc_001156 梅雨時の、拭き漆の作業では、エアコンがないと、急激に乾いて、拭き取れなくなります。

不思議と、梅雨時はエアコンの中でも漆は普通に乾きます。

何より、エアコンがないと塗装面に汗が落ちて大変です。あんまり扇風機は使えないし。

23℃でも時々、体を冷やしながらの作業になります。ただ、気を張ってないと風邪をひいたりするし、どうしても疲れはたまります。

写真のスイッチの汚れは全部漆によるものです。

Dsc_001234 かなりでかい本体です。

年一回、カバーを外して、掃除するので、分解する場所を、マジックで書き入れています。

もう、日本の夏はエアコンなしに肉体労働はできない気候になっています。

これからの木工家にはエアコンとリフターテブルは必須アイテムだとおもいます。

Dsc_001564 ベンチは遅れています。今日から作業再開です。

いいんです、あんまり早く出来たら、お金もらいにくいし。

ところで、今夜は湿度もなく、涼しいんですよ、今年の夏で初めてかな。秋は早いかも?まあ、すべて今年は異常だからな。もう一遍、梅雨が来るかもしれません。

今日は、まとまりのない文章ですが許してください。