木工一覧

鵜島先生の箆(ヘラ)

鵜島啓二先生は輪島の”漆塗り作家”では、角偉三郎先生と双璧をなします。しかし、玄人好みの作風で一般の方は知らないかもしれません。

5,6年前になるか、『輪島屋 善仁』の山下さんの紹介で、高知の漆器コレクターのオバサマ達と一緒に、鵜島先生を訪ねた。輪島屋は自社の製品だけでなく、鵜島先生他、地元の作家、職人の製品も売り歩いているんです。

鵜島先生は気さくな方で、こちらの質問に答えながらも、手は止まりません。ちょうど布着せをやられていました。山下さんが言うには、普通の熟練した職人の3倍仕事が速いそうです。

背筋がピッと伸びて座業で仕事をする様は、古武士のようでした。若い頃は、あまり姿勢がいいために「あいつ、なんでふんぞり返ってるんや?」と言われたそうです。

Dsc_0025 帰りしなに、箪笥の上の箱をまさぐって、一番大きい箆を全部くれました。アスナロだと思います。

「もう、大きなものは塗らないから」とのことでしたが、

「割れば小さくなりますが、いいんですか?」

「そりゃ、勿体ないだろう」とのことでした。流石、わかってらっしゃる。

分厚い箆で、全く曲がりません。どうだかな~?と思っていると「まず、使ってみなさい。」でした。いや~、はじめは面喰いますが拭き漆にはとてもいいんです。ちょっと熟練はいりますが、目から鱗でした。

次回は、じっくり教えてもらう約束をしたんですが、結局これが形見分けのようになってしまいました。2年ほど後に亡くなられたのです。ガンだったと思います。あまり検診もしていなかったようです。角先生も前後して亡くなられました。

う~ん、でも、この箆は鵜島先生の代わりに、よく教えてくれたわ。

Dsc_00223 これは、現在使っているヘラの一部です。

螺旋飾棚なんかは全部の面が捻じれているので、どうしても弾力のある薄い箆が必要です。

短いものは、棚を塗るのに使います。

なんでも、手広くやっているときりがないですね。


新李朝三段棚

Dsc_001066  新李朝三段棚出来ました。勝手に“新李朝”とは我ながらいい根性してるは。

もう少し、考えてディスプレイしたらいいんじゃないのか?今度やり直そう。

慌てて、半袖で拭き漆をしたことがあって、かなりカイカイです。

HPも見て下さい。


李朝棚

今日、ブログのアクセス解析を見たら、妙な曲線を描いていて、朝4時に30人もアクセスしていた。調べると、全部”中国”からのアクセスでした。

来月には、俺の家具が100円ショップに並ぶかもな。せめて、300円商品で売り出してくれ。

Dsc_0022 この李朝の棚、何の変哲もないように見えますが、実は凄くバカバカしい試みをしています。

ヒント・・・・・ホウキとチリ取り・・・・・・・・は関係ありません。

Dsc_0015 実は、ナチュラルベンディングで反ったり、曲がったりした板を使っています。平らな板は一切使っていません。

側板も棚板も曲がっているので、接合面は3次曲面になります。

Dsc_0021 このようにヘリが凸面であれば、普通の毛引きが使えますが、凹面だと写真のような治具がいります。

Dsc_0035 ほぞ穴は、全部現物合わせです。ヘグナーの糸鋸が活躍します。

慣れたら、さほど、手間暇かかりません・・・・・・・もとい!本当は凄く手間がかかります。

Dsc_0005 全体が歪んでいるので、直角を見る場合、スコヤは全く当てになりません。

このような巨大な差金?を使います。

割合簡単に出来たのは、枝の家具を作っていたからか?

しかし、表裏に鉋をかける技は秘伝です。特に凹面は厄介です。こればっかりは企業秘密です。


ベンチを届ける。

Dsc_0081 今日は、午後からベンチを届けに行っていました。スッキリといい感じに収まりました。やっぱり俺はセンスがいいわ~。

この家は、高台というか、丘陵の中腹にあって、上下は水田です。風が抜けて涼しいです。高知といえどもこのようなロケーションは滅多にありません。

冬は多少寒いでしょが、これからの日本の家屋は、夏の暑さにターゲット絞って建てないといけません。

元々、日本の家屋はそうなんでしょうが……高床式にするとか、屋根は芭蕉の葉でふくとか。

それから、我が家みたいに鉄筋のビルなら、窓をバカみたいに多くとると、暑くて寒いです。少しの窓でも十分明るいし、風も抜けます。絵を掛けるスペースも出来ます。予算も少なくて済みます。

私は、3階の住居部の道路側(北側)の窓は、騒音対策もあって、ベランダへの扉を残してコンパネで塞いでしまいました。大工さんに聞くと、石膏ボードがいいそうです。タイガー!窓が少ないと、部屋のレイアウトがしやすいですよ。冷暖房も効くしな。

妙に話がそれました。このお宅からの眺めが抜群なのですが、写真を撮ることを忘れました。金が入ったので、今日は「やまぶき」に行くかな。


曲げ木の椅子

民主党の大勝も、どうなる事やら。でも随分若返ったのがいいんではないかと、同級生と話したことでした。共産党は伸びんかったな~。

Dsc_0021isu ナチュラルベンディングチェアー仕上がりました。

重量は2400gで座板を使った椅子としては、まずまず軽量です。穴に手を掛けて、持ち運びが容易です。

体重62キロの私では、心配した座板のたわみも感じられません。勿論、脚立代わりに上に乗っても大丈夫です。

Dsc_0001isuhozo ホゾは、時計のように正確です。苦節17年の努力も無駄ではなかったようです。

座板の曲面の仕上げに、反台鉋を使ったため、脚や貫も鉋をあてて仕上げています。だから、ナンチャッテ手作り風です。

今回、拭き漆仕上げですが、オイル仕上げもいいかもしれません。

17年もわき目も振らず、木工道に精進しているとボチボチ新商品が出来るもんですね。でも、量産には向かんな。


クスノキベンチ

Dsc_0017 楠ベンチで来ました。

まあ、とっくに出来てたけどな。チークオイルは夏なのにホントに乾かないな。もう、恐ろしくて使えない。

4リットル缶で買うのがいいかもな。

Dsc_benchikasagi 「トオー‼」ってな感じです。薙刀みたい。

笠木を背面から見たところです。


Natural bending chair

Dsc_002066_3 ボチボチ英語圏の訪問者もいらっしゃるので、今日のお題は横文字。英語的にはOKなのか?

新作の椅子、出来ました。貫の位置を決めるのに手間取っておりました。明日から拭き漆をします。

思ったよりも丈夫で、耐久性もありそうです。円錐形の脚の形状は、一考の余地ありです。

Dsc_0003 この写真ではわかりませんが、後脚がぐっと、後方に転んでいます。

最後の最後に、前後を間違えて入れてしまいました。きつ過ぎるなーと思ったんですが・・・・外していたら表面が割れました。自分で使うには十分です。今座っています。

当社のホゾは超精密に出来ているので、失敗して外すときは、たいてい材料が破損します。後戻り出来ないのに、うっかりミスはありますね。

Dsc_0001321 この部分の強度は全く問題ありません。(でも象が乗ったら壊れちゃう)

3年に一度出番がある、写真奥の両スライドテーブル丸鋸が活躍しました。

新しい形状は、新しい素材とか技術が登場しないと困難です。椅子のようなジャンルはなおさらです。

今回、ナチュラルベンディングの技法でちょっと新しいデザインが出来たのではないかと思います。

完成した椅子を見ながら一杯やるのが、木工家冥利ちゅうもんですな。


木工もする。

やっぱり、体が完全でないといかんですね。健康が第一じゃ。

現在、床に伏せっていた時に考えた椅子を具現化しております。頭の中のものを実際に作るのは大変です。

Dsc_001932 実は、ナチュラルベンディングで曲げた、ちゅうか曲がった板を座板と背もたれに使っています。

ムク材を使った椅子としては、世界でも初めての試みだと思います。(ブログだから何と言ってもいいのだ)

右は厚さ10㎜で試作。補強も入れましたが、ちょっと厳しいので諦めました。割れやすい栗ですし。

左のものでも15㎜です。うーん、ギリギリのところです。もちろん乱暴な使い方は出来ません。座るなんてもっての外・・・・・・・。

先ほど、脚を貫なしで挿入して座ってみましたが、なんとかいけそうです。超軽量椅子を目指しましたが、この構造では無理のようです。

新しい試みは、なかなか前に進みません。でも、あすは木地の完成までいきたいです。

ナチュラルベンディング: 私の造語で、薄く引いた板を、風雨にさらし自然に反らせ、乾燥させることをいいます。ただし、思ったようには曲がりません。

通常は反りを抑えるため、厚板で乾燥させます。薄く挽いた場合は、桟積みして狂いを出さないようにします。


楠木のベンチ出来。

ティシュを開いて、黄色い青鼻を見るにつけ、このネバネネバの使い道はないもんか?世界平和に貢献できないか?

いっそのこと、アルミホイルに出して、下からライターで炙って吸ってみるか。たぶん、鼻から出たものなので意味がないと思う。

Dsc_0001123  今日は薬(ヤク)のおかげで、熱が下がったので、人並みに仕事をしました。一回目の塗装までいきました。(写真は塗装前)

背もたれがちょっと高いけど、お客さんの要望です。

このところ、仕事もしないので、食事を控えたら3キロ痩せました。ちゅうか、食欲も今一。


木工旋盤が上手くなっても、

Dsc_0002 ベンチの脚を挽きました。細長いスピンドルに比べると全然楽です。

先端のホゾの直径は計りますけど、後は目分量です。

下端の太い方は直径60㎜ほどですが、測定すると±0,5㎜に収まっていました。

やるもんやな。もう、数千本は挽いたからな。

でも、上手くなっても、金にもならん、自慢も出来ないところが木工のむごい所だな。

前にも書いたと思いますが、このなだらかな円錐形は意外に高難度で、エンファシスは簡単です。

いずれにしろ、手前の刃物(スキューチゼル)がよく砥げてないとうまくいきません。楠は比較的柔らかいので、奥の薄刃のオーバルタイプを使いました。良く切れますが、危険なチゼルの中でも、より神経質な刃物で最初は恐ろしいです。なかなか手が伸びません。

●手慣れたように見えても、昨日はせっかく取り付けた脚の先端を、短く切り過ぎるという大失敗をしてしまいました。

計画通りだったんですが、座ってみるとやたら低い。こりゃいかんわ。脚を根元から切り落とし、直径30㎜の穴を32㎜のドリルでボーリングしました。うまくリカバリー出来ましたが、えらいロスや。焚き木が増えた。

実は切り取る部分が5㎝以上の長さがあり、「切るな!」という楠の声を聞いたような気がしました。段階的に切り取ろうかと考えが、一瞬、頭をよぎりましたが、重いベンチを何度も裏返すのは大変です・・・・・・夏だしな・・・・・・悪魔の声に負けてしまいました。

木工をやってる皆さん、作り直すのはやっぱり何倍も大変ですよ~!「急がば回れ」ですよ~!夏は特に・・・・・。

夏に仕事は無理です。ここんとこ膝も痛いし、毎日3時間ぐらいしか働いていません。読書三昧です。