木工家専用一覧

悩み事

本日は、難解な木工家専用です。

7,8年前に大量に買い込んでいた、シベリアタモの柾板の寸5厚がついに底をついた。寸1はまだ十分あります。

寸5は椅子の座板にも使うし、挽き割って使うこともあるので、用途が多いのでしょう。

シベリアタモは板目に挽くと、ショボイのですが、柾目だと上品だし、剥ぎ合わせてもつなぎが目立ちません。特に魅力はないのですが、使いやすいのです。

当時は、ロシアも大変な時期で、タモは比較的安かったのですが、ガス油田の開発の成功やら何やらで、経済が立ち直ってきた現在、関税が8割もかかるようになりました。“アムール虎の生息地域の保全”とかいう、もっともらしい理由を付けて、伐採も制限しているらしいのです。

ほんで、不景気にもかかわらず、随分と高値になっています。

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馴染みのA製材所に行くと、20年も前に買ったという、国産タモの4m丸太の半割りがありました。

これを柾挽きするかな。余計高くつくだろうな。でも、国産材は魅力だな。

今年は収入が激減しそうな気がするので、僅かな虎の子に手を付けたくなかったんですが、しょうがねぇーかな?木工はビタイチ金になりませんね。

なんか話が暗くなりました。先ほど、友人から連絡があって、高知の野鳥から、やっぱり“鳥インフル”が検出されたそうです・・・・・・すみません、明るい話題がなくて。


大掃除

本日は、プールが最終日だったため、泳ぎ納めをしてきました。来年は7日からだそう。お役所は呑気でいいわ。人に言えた義理ではないですが。

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工房の天井の清掃が完了しました。実は、築20年以上になろうと思いますが、初めての掃除です。

鉄骨部分に、木くずが、厚いところは1センチも堆積しておりました。普通の人なら卒倒します。

例えば、長材が蛍光灯に当たると、滝のように粉塵が落ちてきていました。

横着な私でも、いきなりエアガンを使うわけにもいかず、最初に、あらかた掃除機で吸い取りました。

ほんで、風の強い日に、東西の窓を全開にして扇風機も回して、吹き飛ばしました。風下は道路を隔てて、工場ですので問題ありません。

しかし、粉塵が再度床に堆積するほどの凄まじさでした。密閉型の工房の欠点ですが、空調は効くし、一長一短ですね。

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日立の掃除機は、延長ホースの付いたものを選んでおいて正解でした。ところで、どこのメーカーもそうですが、なんでスイッチがこんなにも使い辛いのでしょう?

連動コンセントは必要ですが、業務用掃除機で、強弱の切り替えを使う人なんかいるんだろうか?防塵カバーがあるせいで、押すのに力が要るしな。掃除機の誤動作で怪我をすることはないだろうから、テッペンにデカイ押しボタンがあればいいと思う。

どこも掃除機はイモだな。背中に背負うのが案外いいかも。


ナイス・リカバリー!

まだ、波乗りの疲れが残っていて、体が捻じれない。

ところで、今日も、一部の木工家には大変参考になる話ですが、一般の方には意味が分からないし、使い道もありません。

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先日の山桜ですが、3分割すると、幾分予想はしていましたが、中央の板目の部分が、ビィヨョーンと反ってしまった。6㎜だった反りが、何と10㎜に!内部応力のバランスが崩れたんですね。

これでは、仕上がりの厚さが28ミリほどになってしまう。お客さんには、仕上がりは薄くなると言ってあるもの、40ミリの1枚板を見せているので、、「ウソツキ、詐欺師、人でなし!」と言われても仕方がない。

それに、銘木のテーブルが、あんまり薄いのはどうかな。凸面が表なら、裏は凹んだまま残すという裏技が使えるんですが、今回は逆だしな。

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そこで、木工仲間の近藤さんのブログを思い出しました。試してみる価値はあるぞ、加熱曲げ!

慌てていたので、作業中の写真がありません。濡らしたバスタオルを巻いて、アルミホイルでカバーし、長さ120センチの部分をアイロンの2台がけで30分ほど過熱しました。幅は27センチですが、別に直角に曲げるわけではないので、十分可能ではないかと・・・・。

写真は曲げた時の様子を再現したもの。実際はアルミホイルは巻いたままです。また、かました板は、3センチ厚を中央に1枚。

それを、強力バイスで両側が定番の縁に着くまで締め上げます。

最初は、両側を木のブロックに載せて、糸鋸機やら、自分やらが乗ってみたんですが、大して曲がりませんでした。このやり方だと200キロは必要かと思います。

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上面をアイロンで加熱中は、下面に、この園芸用ヒーターを敷きます。ほんで裏返して、同じことをします。 このヒーターは、漆ムロ用です。別になくても出来そうですよ。

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どうじゃー!ここまで修正できれば大成功じゃ!やってみるもんじゃね~。

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僅かに、3ミリほどの隙間はあるけど、十分じゃ。その気になれば、限りなくゼロに近付けられるでしょう。面倒だからな。

昔から、炙ってタメル方法はあったけど、40ミリはな。

銘木や、ここぞという時、4枚剥ぎのうち、1枚が反っていて、余分がない時などに活躍するでしょう。

近藤さん、講師の徳永先生、どうもありがとうございました。


難しい判断

やっと涼しくなったと思ったら、朝夕は寒くて、なんか非常に損した気分ですね。

今日は、木工家上級コースですので、一般の方は理解出来ません。

先日、ダイニングテーブル・デラックスは仕上がったのですが、今日から山桜のテーブルが始まりました。重量級の製作が続き、腰が痛いです。

本来、薄くて軽い材料で、経費を浮かせて、お金を一杯もらうのが私の木工のスタイルですが、そうもいかん時もあります。

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問題なのは、この板、長手方向(2m)で、6㎜反っており、幅方向(85㎝)で4㎜反っていることです。全体に凹んだ感じです。

本来、山桜はもっと過激に反るものですが、大木は応力が抜けているのか、おとなしいです。

当初、2000分の6は無視して、幅方向の歪みを取るだけにしようと考えていました。その際、垂れた印象になるのを防ぐため、凸面を上にするのが一般的です。

しかし、凸面には、一部焼けが発生していて、強度的には問題ないのですが、漆を塗るとムラになりそうです。杢も凹面の方がいいしな。

少々垂れててもいいと思いましたが、思い切って3分割して仕上げて、再度張り合わすことにしました。

山桜の最大クラスに鋸を入れるのは気が引けますが、元々、一枚なので、剥ぎ合わすと、僅かに杢目はずれますが、プロが見ても分かりません。

でも、なるべく無駄が出ないように、作業は慎重に行わなければなりません。

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アウトラインを仕上げた状態です。板の耳は半分くらい残しています。

My乾燥釜を持っていれば、正確に桟木をかまし、2トンほどの重しをすれば、完全に平面に仕上がったのでしょうが、大きな釜に相乗りで突っ込んでもらっているので、文句は言えません。しかし、平面を出すために、鉋屑に消える分も結構なな金額です。

乾燥場のお兄ちゃんに夜の接待をして、無理を聞いてもらった方が、そろばん勘定は合うかな。でも、2軒目はおねーちゃんのいる店に連れていかんと効果ないじゃろーし。

木工は、作るだけじゃなく、いろいろ難義が多いです。


蟻掛け吸付き

今日も雑用が多く、殆ど仕事をしなかったな。まだ暑いからいいのだ。

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昨日は、2本足のテーブルの“吸付き”の加工をしていました。

一般の方には分からないと思いますが、この部分がスライドして、テーブルトップの収縮に対応します。

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吸付きの雄・雌の製作は、精密さを要しますので、半日、いや1日かけるつもりで、慎重に行います。このテーブルの強度の要ですので、手を抜く事は出来ません。

溝は、奥に行くに従って、僅かに狭くなって、最後にギュッと締まるようになっています。当然、雄にも勾配を付けます。

しかし、愛媛県の井村工房さんは、「それだと、緩んでくるので、ウチは締まり勾配は取らずに、ギュウギュウ締めつけて入れるんじゃい!」とおっしゃっていました。なるほど、それも一理あります。しかし、加工精度はさらに高度になります。

今のところ、緩んだことはないのですが、先端に取り外し出来る、木製のピンでも打ち込むといいと思いますが、やったことはないな。

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これは、更に一部の木工家にしか分からないと思いますが、仮組した脚の組手を組み立て機と治具をを使って、抜いているところです。本当に便利です。俺は天才か!

しかし、気付くのが遅過ぎました。死ぬまでに、後、何台テーブルの注文があるかな?もうなかったりして・・・・・・十分あり得ます。いや、後一台は、大丈夫です。

明日は、「しもなのアートキャンプ」講師をするので、また仕事はお休みです。


治具作り

こう暑いと、ブログの更新も体力勝負となってきました。まあ、本業は、チョボチョボやっているので、大丈夫なのだ。

今日は、一般の方には意味不明の木工家専用です。

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最近、わりと大がかりな新作に取り組んでいるので、治具作りをしています。失敗すると材料の損失が大きいので、まず、外堀から埋めているような感じです。

新作は、超精密な加工が必要なので、いつもより念入りです。

よく、治具命!みたいに、手をかける人がいますが、私は簡単に済ませます。2度と使わないことが多いですから。この治具も、さほど役に立たないことが分かりました。

お客さんに買ってもらうもんじゃないしな。

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このテンプレートも、ホゾを左右どちらからでも、はめられるよう、高精度です。

黄色いテープは、微妙な直角のズレを修正したものです。

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今回の加工には、ルーターマシンが欠かせません。厚さ6ミリの板に、3ミリの溝を掘るには、剛性の高い機械じゃないと無理です。それでも、なかなか、ど真ん中に通りません。

慎重に進めたんですが、今日も沢山、失敗しました。

多品種少量生産は程々にしないと、身の破滅につながります。しかし、やらずにおれない性分です。

そろそろ、山桜のテーブルを作らないといけないのですが、一気に仕上げないと、勘所を全部忘れてしまいそうです。忘れるのは、大得意ですから。


板剥ぎ

本日は木工家専用です。

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幅1400・奥行600のセンターテーブルの剥ぎ合わせです。ホウの板を4枚使っています。

伝統工芸ならシラタは除くべきでしょうが、そうも言ってられません。

通常はこのように、ブックマッチングの逆で、シラタを内側にして、縁に赤身がくるようにします。縁が丈夫になりますし、見た目もまとまります。

しかし、今回2組の表情が違い過ぎます!

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ほんで、このようにしてみました。まあ、さっきよりは随分ましです。

それでも、この杢は妙に派手で、今にして思えば、別の板でやり直せばよかったと反省しています。でも、もう、今日殆ど出来てしまいました。

このホウなんか、高価な材ではないのですが、丸太から何年もかけて養生したので、捨てるのは忍びないのです。まな板に使えば良かったな・・・・・・・・失敗じゃ。

肘付きのウインザーに苦労し過ぎて、ボケてたのかもしれません。お客様には秘密です。


重い材料は持たれん!

今日は木工家専用です。当工房は、所定の厚さに製材された材料も使いますが、主に丸太買いをしています。

なかでも、直径40㎝、長さ2m程度の小さな丸太は、半割りにして、軽く面取りし、なんとか一人で動かせるような重量に製材してもらいます。

そのまま、立て掛けて、数年乾燥させ、自分のバンドソーで必要な厚さにリッピングして使うようにしています。小径木には有効な方法だと思っています。

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写真はホウの木で、厚みは4寸ほど。それでも重量は30キロを超すと思います。リュックサックならともかく、これを横に抱え込むと、背骨には何倍もの負荷がかかります。

歩かせて移動させることも出来ますが、工房の軒につかえます。

そこで、キャスターを付けた、台車に片側を落とします。

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ほんで、ゴソゴソ引っ張り込みます。当然、工房内に事前に置場所を用意しておきます。

これなら、半分の重量で済みますし、無理な姿勢をとらなくてもいいわけです。コンパネと安物のキャスターで十分です。軽量で簡単に車に載せられるしな。ゴムでもひけば、なお完璧です。

より重量のあるものは、重量キャスターの付いた馬を使います。

皆さん、お腰を大事にして下さいね。


斜めの胴付ホゾ

本日も、一般の人には面白くもなんともない、木工中級コースの話題です。

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こういう、斜めの胴付ホゾは、面倒なのでなるだけ避けたいところですが、お客様に大枚を請求する、悪徳木工家にとって避けて通れないこともあります。

板厚に十分な厚さがあり、量産するのであれば、座刳り付きの2段ドリル刃を兼房に特注したらいいと思います。

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まず、深さをテープで印して、胴付面を切り込みます。

ミニパネルソーがいいです。使い捨て鋸刃は良く切れるのとそうでないのがあるみたいですね。新しく買ったのは切れなくて、これは、もう10年近く使っています。

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アサリのない鋸を使って、指を添えて切り込みます。4面取って、更に4面。さらに、鋸で丸く仕上げます。この鋸も古い方が切れます。

よくノミを使うなどと書かれていますが、内側へ切れ込んでしまうので、絶対に使ってはいけません。

最後に小刀で仕上げますが、存外力が要りますので、誤って指を切らないよう、適当なところで止めましょう。キューピー3分クッキングみたいですね。

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この位だと、万々歳です。裏返してチェックするようなお客様の仕事はしませんから。

普段はあまり使いませんが、胴付面の確保のために、エポキシ接着剤を使います。

もっと楽な方法があったら、教えて下さい。


楽な板剥ぎ術

今日は、半ズボンにTシャツで仕事をしていました。急に夏になりました。

本日のブログは木工上級コースというより、酸いも甘いも経験した、いやらしい実践編です。一般の方は全然意味がわかりません。申し訳ありません。

最近、私のやっている板剥ぎ術です。結構、企業秘密ではありますが、公開します。と言っても、大したことありませんし、大きな工場では普通かもしれません。

接着にはPIボンドを使います。イモ剥ぎです。ビスケットは使いません。面倒ですから。また、ビスケットは案外目違いが出るのも問題です。

圧締には組み立て機は使いません。クランプで目違いが出ないよう締めつけていきます。出来るだけ、段差ゼロを目指します。ただ、クランプは多めに使います。場合によりますが、最近、組み立て機は板剥ぎには向かないような気がしています。

接着、乾燥後、目違いを取るのは、結構大変で、気を抜くと大きな逆むけを起こしてしまいます。また汗も出ます。そこで、片面のみ、ボンドのはみ出しと、目違いを大雑把に取り除きます。

それを、自動鉋盤に板厚より0.30.5ミリ薄くセットして送ります。インバーターの送材スピードは一番遅くします。裏返して同じことを繰り返します。これで完全な平面の出来上がりです。実に簡単です。桑原製の自動鉋盤のお陰ですが、逆目は出ずに、刃が新しければ、超仕上げをかけたようになります。サンディングもすぐ済みます。

ダイニングテーブルの天板のように幅のあるものは、半分ずつ仕上げて、中央は従来のやり方です。この方法を始めて、板剥ぎがウソのように楽になりました。なんで、今まで気が付かなかったのか?

ただ、このやり方は、実用品の家具にはいいのですが、完璧すぎて面白みがなく、工芸品を拭き漆で仕上げる場合などは、味を出すために矢張り手鉋を使います。