ただ今,室温17度。今日はシャツ一枚で作業して汗をかきました。
なかなか木工仕事は思うようにはかどりません。
先をトンガラシタために、裏面の形状が複雑になってしまいました。まあ、座板が出来れば作業は峠を越します。でも、最後は拭き漆だから・・・・・・今月一杯かかったら厭だな。
今日も、一般の方には面白くもない木工の話です。
座の裏面はこのようになっています。先が尖がっているほうが、造形的にはつじつまが合わせやすいです。お釈迦様が座っている蓮華座みたいです。ハスの花びらです。自然の造形物は完成されているということでしょうか。
実は、裏面も倣い加工機を使ってみましたが、失敗しました。薄過ぎてわずかなズレが悲惨な結末を呼びます。裏はさほどの労力ではないので、手持ち式の機械と鉋で仕上げます。
しかし、私はついつい機械に頼ってしまい、削り過ぎてしまいます。汗をなるべくかきたくないのです。そして、冷や汗が・・・・・。失敗をリカバーするのは大事ですが、鉋で地道に加工するのはやってみると、大した労働ではありません。自戒の念を込めてここに記しておきます。
表側は昼ごろに5枚完成しました。この作業は憔悴します。粘土細工みたいに付けたり取ったり出来ませんからね。
裏面を加工するとこんな感じ。サイドの曲面がセクシーです。もうひとつだけど。
実は、ここの加工が一番大変です。なだらかに変化する曲面はアラが見えやすく手が抜けません。
座板削りも場数を踏めば、割合楽です。ずっと落ちを考えていたんですが思い付きませんでした。お風呂にはいります。
このバイオリンチェアーは、当社の製品では割合お高いにもかかわらず、ボチボチ売れます。私にしては凝ったデザインです。名古屋の個展に向けて4脚ほど作ることにしました。一度に30脚も作るところもあるそうですが、うちでは6脚位が限界です・・・・でも簡単な椅子なら12脚は出来ます。
実は、ひな形まで売ってしまったので、お客さんの所から借りてきました。今度返しに行く時、商品持っていって、なんか買ってもらおう。
この椅子は、日色ともゑさんが買ってくれた、最初のバイオリンチェアーじゃなくて、第二世代です。今回は更に改良を加えることにしました。上の写真のように後ろから見るとカッコいいんですが・・・・・・
斜め後方からもいい感じです。
前方からだと、座の部分がモッサリして、緊張感がイマイチ。ついでに全体に微妙な改良を加えることにしました。
他の椅子達にも毎回、同様の改良を加えていますが、大量生産ではないので、金銭的見返りがないのが難儀なところです。本当にバカバカしいと思います。
◎名古屋「トータク」での個展、ギャラリーの都合により1週間遅れの4月17日(土)~25日(日)となりましたので、よろしくお願いします。
本日は、朝から原木市場に出かけた。お目当ての朴(ホウ)は他県から買い付けの製材業者が来ていて、大分高値で、競り落とすことが出来なかった。安いもんですから、その気になればいけたのですが、在庫もあり無理をする必要はないと判断しました。その方が「高知は面白い木が一杯ありますね~」と感心していました。
後悔はその事じゃないのです。銘木商のAさんが持っているケヤキのことなのです。長さは5mくらい、半割りにした材で直径はほんの50㎝というところでしょうか。大きいわけではないのです。軽く表面を削ってあるんですが、細かい花弁のような上品な杢が出ています。ケヤキを20年近く見てきた私ですが、しびれます。
最初に見たのは5年以上前です。恐ろしく高額で買えるような代物ではないのですが、市場から姿を消した後も忘れられず、聞けば倉庫に保管してあるということでした。その後2度ほど人を介して探りを入れてもらったのですが、どうも簡単に手放す気はないようでした。この不景気だし、最後には俺の所に来るかなと、高をくくっていました。
その辺に転がっている木を、高額商品に仕立てるのを得意としている、詐欺まがいの私ですが、矢張り、ここぞという時には、銘木もいるんです。李朝の小箱を作るなら、一生使えそうです。
それで、今日は意を決してAさんに相談を持ちかけました。そしたら「 あ~、あれは鴨居に使った、いいのが取れたわ!」 ガーン!!もう何年も見てないけど、頭の中では製材の仕方まで考えていたんです。その後、反対側の材も製材所から出て来て、高値で転売したとおっしゃっていました・・・・・・・グ~!
後悔先に立たず、借金しても買っとくべきだった。Aさんは「あんなの二度とお目にかかれない、吉良君も頑張りや」と捨て台詞を残して去って行ったのでした。
久々にYチェアーの張り替えの仕事が来た。厳しいこのご時世に貴重な現金収入だ。なんかバイトしてる感じだ。しかし、間隔が微妙に開くので、やり方をいつも忘れてしまっている。でも肝心の所は体が覚えていて、始めると後は早い。
今回の2脚は今までで一番状態が良く、肘かけが一ヶ所外れていただけだ。すごく嬉しい。実は、Yチェアーはガタガタになったものが大半で、中には致命的な破損があって、ちょっと修理の難しいものもある。例えば、背もたれのYが折れたものなんか、積層でパーツを作り直すほどウチは暇じゃないし。あんまりひどいと、張り替えは気の乗らない仕事になってしまう。
Yチェアー信奉者には申し訳ない話になりますが、構造的に弱いのでは・・・・・という話は明日にして、長年?木工をやってきた私が感じるのは、材料の乾燥が十分おこなわれてないのでは、ということだ。
外れた部分を見ていると、長年の使用によるヘタリというより、乾燥によってスポスポになったように見受けられます。
実は、木材の人工乾燥は大変難しく、根拠があって言う訳ではないけど、日本が一番進んでいるように思います。例えば、高知県の“乾燥師”は世界で教えているし。木は一定でないので、感性とか目分量とかが必要なようです。
それから、この構造は、材料を吟味して、出来れば一つ一つのホゾをすり合わせるような精密さ、手間がが要ると思います。つまり、量産には向かないと思います。しかし、実際はPPモブラー社の中では安価な量産椅子なんのです。スーパーレジェーラ等と比べると明らかに雑な作りで、貫の部分なんかは研磨が十分でなくてザラザラしています。
「ハッ!ざまーみろ、世界の名作椅子を散々こきおろしてやったわい」
と言いつつ、考えた人も考えた人だけど、作る方も作る方だな。逆に言えば、量産椅子でここまで出来るのかと、考えさせられます。デザイナーがモデラーも兼ねてないと無理ですね。
真面目な話を書くと、時間もかかるし疲れます。
う~ん、風邪が治らん。今、全国的に木工家のトレンドは風邪のようです。
大した話題じゃありません。一般の方は読んでもわからないし、特にお客様は読まないようにして下さい。
これは、先日出来上がった、ちゃぶ台の幕板の部分ですが、反り台カンナのかけ方もいい加減なものですが(上側はどうせ見えない)、一番下に注目!
鋸跡が取れていません。これは、バンドソーで挽き割っていた時、うっかりハチベー、それてしまったのです。この部分を取り去るには、もう一度4枚の板を自動鉋にかけて、20ミリの厚さを19ミリに落とさなければなりません。
厚みを落としたくなかったし、面倒くさいし、勿体ないのでそのまま仕上げました。どちらにしても普通は隠れる部分なので、職人の失敗を残しておくのもいいんじゃないかと考えました。
こういうのは、あってもいいんじゃないでしょうか。
裏は2回塗りで止めてしまったけど6回塗った方が良かったな。
このちゃぶ台は納品に行ったのですが、比較するため持って行った、うんと高い“円卓”をお客様が気に入ってくれて、そちらを購入されました。思う壺じゃ。ウッシッシ。
そんなに商売うまくいくのは、年に1回ぐらいです。
“思うつぼ”は、サイコロ賭博のあの壺だそうです。目が思い通りに出たというか・・・。
水曜日にプールに行ったら、えらく水が冷たく感じられた。じつは、それからまた風邪をひいてしまった。気合いが足らないとしか言いようがない。寝込むほどではないので、ずっと仕事をしている。
ちゃぶ台、完成しました。今度作るときには、またノウハウを忘れていると思います。一応、パソコンに記憶させておこう。
ヒノキは時々使うけど、いいもんですね。軽いので、追求すれば新しい形の家具が生まれる可能性があります。既存の西洋家具は堅木を材料として考えられたものですから。
ところで、冬場は3日も風呂に入らないと、一生風呂なんかなくてもいいような気になりますね。でももう、風邪も飽きたので、今夜はひとっ風呂浴びて「やまぶき」にでも出掛けるかな。
そうなんです、先日の謎のパーツはちゃぶ台の脚をキュッと固定するための板なんです・・・・・と言っても若い人にはわかりませんでしょうが。
ちゃぶ台の製作は3台目なんですが、記憶力が悪い上に、間隔が微妙に開くので、勘所を忘れてしまいます。今回も前回の図面を見ながら苦労しました。実際、構造は難しいんです。
最初に作った時は、古物屋からわざわざ買ってきて研究しました。そのちゃぶ台がどうも見当たらないのは、女の子に猫なで声でせがまれてやったのかな。男にタダでくれてやるはずはないしな。
今回はヒノキで作りました。初回の拭き漆の直後はこんなか感じです。
乾くと色が濃くなります。それから3カ月もすると随分薄くなります。上のものほどではないのですが。
ヒノキは鉋のナグリ仕上げが良く合います。チューカ、このやり方が慣れると、ごまかしがきいて便利です。
スッキリしていい感じなんですが、どうも私の木工は苦心の跡が見えないというか、軽薄というか、性格が出ています。
先日友人が来て「なんじゃこりゃ!曲がっちゅう!どうやって作った?」(竜馬伝の放送もあり、今年は土佐弁を多用していきたいと思います)と、びっくりしていました。でも、感性のない普通の人が見ても気が付かないと思います。まあ、そういう人は木工品なんか買わないので問題はありませんが。
スッキリしたバンダジとは裏腹に、工房はグチャグチャニなっております。完全に金工室と化しております。本日、片付けて木工室に戻すのに半日かかりました。
電気溶接の“お面”ともしばらくサヨナラです。実際は後ろに見えるホースのアセチレンと酸素を使うことが多いです。
今日は、海に行きたかったんですが、大事をとって止めにしました。「やまぶき」にでも出掛けるか。