木工一覧

夜は素敵。

明日は、はるばる群馬県から、ご夫婦のお客様がおいでなので、午後からショールームの掃除をしていた。お客様が来るのは、大体ふた月に1組ぐらいだろうか。来ればなんだか買ってもらえるので、一人でやってる工房としては、冷やかしの相手をするより、むしろ効率が良い。もともとは、倉庫のつもりで建てたんですから十分です。

それまでは、毎年個展の2,3ヶ月前になると、チークオイルや漆の半乾きの家具と寝食を共にし、すっかり脳と鼻をやられてしまった。今考えてもゾッとするな。皆さん、健康が第一ですよ~!

Dsc_0070 夜の、ショールームはいい感じです。写真で見れば・・・・でも、ネズミの糞の掃除が大変でした。どこから入ってくるのかわかりません。親指位の穴があればOKだそうです。常連さんじゃ。フンばっかり残していくなよ。

しかし、よく売れ残ったもんだ。でも、これくらいはないと、お客さんが来ても面白くないしな。

明日の夜の部は、私が段取りすることになっているので、楽しみだな。イッヒッヒッ。


大失敗。

Dsc_0020 昨日のことです。連休の疲労はあるものの、気分的にはスッキリと仕事をしていました。

手前は座刳りマシンによる加工の終わった座板です。失敗は上の四枚のうちの一番手前です。表裏が逆になっています。側面に角度が付いていますのでリバーシブルではないのです。

この失敗を見つけた時は頭が真っ白になりましたが、幸い6枚中1枚でした。私の場合、たいていの失敗は埋木したりしてリカバーしますが、これはちょっと、どうしようもないです。

手間的にはさほどでもありませんが、栗の厚板なんか売ってるところは近くにはありません。幸い、在庫はまだ沢山ありました。

元々、集中力を欠く状態で仕事をしていましたが、さらにボケる事態に陥ったのは、サーファーのMちゃんが、先日私が撮影したライディングをCDに焼いてくれ~!と訪ねて来たことです。電話をもらった時、悪い予感はしました。Mちゃんは凄く薄着なんです。案の定、ノースリーブにミニスカートで現れ、帰りに車に乗る時はパンツ丸見えでした。見るな~!!

Dsc_00061 のぼせました。まあ、ちょっと失敗したけれど、長期的には「元気」になったかも!?

人生にはいろんなことがありますね。


気分を変えて。

Dsc_0031_2 どうも調子が悪いので、気分転換に、昨夜は、キャンピングカーで行く居酒屋 ”やまぶき” に出かけました。おいしかった。 朝はスッキリ。

でも昨夜は雨で、木立の下に駐車したんで、いろいろなものが落ちて来る音で、トトロ気分でした。車体がデカイと結露することもなく家で寝るのと変わらないです。いっそのこと、敷布団を持ち込もうと考えましたが、世帯臭くなりますし・・・・・場所も取るし・・・・・ホームレスみたいだし、やめました。

今日は、椅子の座刳りです。今度のシェーカースタイルのダイニングチェアーはストイックなタイプではなく、やや、リラックスできるようにするため、座をやや大きくして、座刳りの形状を変えます。その型作りから始めます。

しかし、一から始めるのではなく、別のダイニングチェアーの型を流用することにしました。

Dsc_0046 座刳りマシン。何度やってもこの機械をセットするのは大変です。

前回まで、グラインダーに直接取り付けていた集塵ホースを、切り離しました。微妙な力加減を重視するためですが、集塵口を時々移動する必要があり、一長一短です。

箱物はそうでもないんですが、椅子、特にウィンザー系は微妙なものがあり、乗ってくるまで時間がかかります。まとめて作り置きすると、さらに時間が空くので、忘れてしまいそうだし、厄介です。一般的に、箱物と脚物を作る職人は分かれているそうです。


続、木工旋盤。

Dsc_0006 昨日の続きです。こんな感じで仕事をしています。ペーパーをかけるときに粉じんが出ますので、ずっと防塵マスクをして作業します。

よく、集塵ダクトを付けてる写真を見ますが、音と振動は重要な情報源ですので集塵機を回す気にはなりません。

写真の山桜の35㎝のスピンドルなら難なく削れますが、60㎝になるといくら手を添えてもうまくいきません。柾目のタモなら大丈夫ですが。

Dsc_0014 左の3本は”レコード”のセットもので、カナダで買ったイギリス製。バイトは、イギリスで買えば一番安いんでしょうな。右端のでっかいガウジはオフコーポで買った格安品。脚の粗挽きに活躍します。しかし、なんとなく見劣りはしますので、お金のある人はブランド品がいいでしょう。

今回、脚とスピンドル、荒と仕上げ削りで、回転数をこまめに調整しましたが、確かに適正回転数があるようです。回転が合うと、ガウジでも連続したカンナくずがニョロニョロ出ます。となると、やっぱりインバーターは便利ということですね。

しかし、もう歳だから、あれもこれも作るんじゃなくて、ジャンルを絞り込んだ方が楽かな~。調子が出るまで時間がかかり過ぎます。


今日は誕生日。

今日は、私の誕生日でした。50歳かと思っていたら49歳でした。ひとつ得しました。しかし、祝福してくれるのがniftyとか楽天とかでは寂しいじょ~。”電子お誕生日カード”なんか送ってくるな~!この歳になるとどうでもいいことですが。

Dsc_00031111 旋盤加工、実は、二日かかってこんだけしか出来ていません。世界経済の動向が気になってどうもやる気が出ません。ウソです。株も貯金もないし。でも、商売にはかかわってくるでしょうな。

まあ、旋盤加工は危険が伴うのでこんな調子でいいんじゃないか。急いでも仕方ないです・・・・・・・と、ブログを仕上げるつもりが、友人から”お誕生日会”をやってくれる御誘いが先ほどありました。もう時間です。たまにはこんな形で終わるのも許されよ。


終日、木工旋盤 。

Dsc_0003 今日は終日、旋盤加工をしていました。こんだけあると、ちょっとうんざりです。

久々にやると、下手になっていました。どうも、様子がおかしいので刃物を研いだり、工夫しましたが、どうやら、材料が原因で、今回のタモは、強度がある反面、逆目が出やすいようです。

よく、このような旋盤加工は退屈でないかと聞かれるんですが、拭き漆と同じで、極めればきりがないので、退屈はしません。スピードとか正確さ、削り肌の美しさとか、追及することはいろいろあります。旋盤一本でやっている方もいるのですから。まだまだ、私など刃物一本マスター出来ていません。でも、こればっかりやっているわけにかないしな~。

Dsc_0008 この椅子を、6脚作ります。写真ではわかりませんが、わりと背の立った、座面の小さい、ストイックな椅子で、かっこいいんですが、今回は、少し座面を広くして、背も寝かして、ゆったり目に仕上げるつもりです。

そりゃ~、図面や型紙をやり直さないといけなくて、とても面倒なんですが、それが仕事というもんでしょ。(エライ!)

その一方で、もっと簡単で楽で、金になる仕事を模索しております。


額装する。

Dsc_0005 なにしろ零細事業者でございますから、なんでもやります。でも、今回はちょっと珍しい。ノコギリエイの鼻のケースを作りました。

旧知の依頼主からは、ノコギリザメであると聞かされていましたが、ネットで調べていると、エイであることが判明しました。長さは120センチあり、体長3.6メートルほどのかなり大きな個体であったと推測されます。何度も、漁船の船底に大穴を開けたことでしょう。ディズニーか!?

居酒屋に展示されるそうで、ちょっと気持ち悪いんで、親しみのある仕上がりを目指しました。結構な重量なので、裏面は真鍮板で補強しています。

額装の仕事は割と多くて、と言っても依頼主はほとんど自分自身なのですが、楽しい仕事です。近々、HPに「その他」というジャンルを設けて、紹介しようと思っています。

昔”パタゴニア”のショップから頼まれて、創始者の打ったピトンを書簡などとレイアウトしたショーケースを作ったこともあります。この創始者は波乗りに高知に来たこともあります。そういえば、モンベルの社長とカヌーイストの野田さんが、うちに訪ねてきたことがあります。板きれを買ってゆきました。家具を買え、家具を。今ならブログに出すところですが。

Dsc_0001 これは接合部分を補強するためのジグです。木工関係者にしか意味はわかりません。以前作っておいたはずでしたが、見当たらないのでまた作りました。ないと、出来ませんので。

この、ノコギリエイが設置されるのは銀座の居酒屋だそうで、本当に置いてあるかチェックする必要があるかもしれません。ものがものだけに、展示にはセンスがいりそうです。


ちょっとマンネリか。

3333333 木工で飯を食っていますから、やっております。栗のベンチ出来ました。長さが1700ありますので、貫きを入れました。それでも、3人も座るとたわむと思います。

貫きを入れる作業は割とめんどくさいのですが、応力が分散されるので、耐久性は相当UPします。見た目は、意見の分かれるところです。

このテレスコープ型の脚は、円錐形にふくらみをもたしているのですが、意外に旋盤加工が難しく、よく刃物を研いでおかないとスムーズに切り出せません。

Dsc_0026 これは、脚に貫きを入れる穴を開けるための冶具。脚の形が特殊なので急遽作りました。そんなに精度はないです。

321321 これは、脚の先端を切り揃える冶具です。ものがデカイので丈夫なものを作りました。スッパリ正確に加工できます。体が弱いので、頭を使うようにしています。

最近、注文が途切れずあるのは、有難いことなのですが、段々能率が落ちてきたような気がします。ちょっとマンネリかな。

今年中位に、先の仏壇に収める大日如来を彫らなくてはならないので、運慶を勉強していますが、うーん、これはちょっと・・・・・・出来るだろうか?実際には金銅仏のような、ヘタウマタッチでいこうと思っていますが、粘土ならともかく、木彫りはさらに難易度UPします。でも、出来たら面白いだろうな。


木工もしてます。

なんか、真面目にブログをやり過ぎて、疲れて来たんですが、明日はプールでUP出来ないと思うんで、やっておこう。ところで、アートキャンプンのときは波が良かったみたいで、それだけが残念じゃ~。

Dsc_0019_2 木工も一応真面目にやっています。これは、新たにオーダーのあったスクリーン。空白の部分に、お客様が布を張ります。 上下のバーは湾曲させて脱着します。

これを作るのに一番大変なのは、左右の椿の木を在庫の中から見つけ出すことです。曲がりつつも真直ぐな丁度いい太さの木なんてそうありませんから。半日仕事です。

こういう、趣味性の高いものは納入に不安がともないますが、先ほどお客様からお礼の電話がありました。早速、麻の古布を張ってみたそうです。一安心じゃ。入金もして頂いたようで・・・・ウッシッシ。

昨年よりずっと早く涼しくなってきましたが、まだまだ体と脳は本調子じゃございません。東京のオフィスビルでバリバリ働いているビジネスマンは夏の疲れなんて感じている暇はないんでしょうか。私のモーレツ社員(こりゃ古過ぎ)の頃、当時20代でしたし、夏はこんなに暑くなかったので、比べられません。都心のアパートでもエアコンなしで過ごせたし。


木工家はなぜ貧乏なのか。

木工家が貧乏なのは、経済、市場の仕組みで決まっていることで、なにも難しいことではありません。私もそれに気づいたのは、足抜き出来なくなってからのことで、初めから分かっていれば、木工なんてしてなかったと思います。

木工は、まず作業場がいります。材料は高いです。手道具、電動工具など道具も際限なく必要です。私の場合ショールームも建てており、毎月のローンの支払いは勿論のこと、三相200Vの電気代他、2軒の家庭用電気代がいります。倉庫も借りているので家賃がいります。これでは、少々稼いでも残ることはありません。このように、木工の場合経費がかかり過ぎるのです。その都度、材料を仕入れるとか、山奥の廃校などを利用すれば大分違うかもしれませんが。

工芸の分野で一番貧乏なのは“織り”と聞きます。人間国宝の方でも、マックでバイトするより時給が少ないかもしれません。そして、2番目が木工らしいです。

経費がかかれば、その分高値で売ればよいと考えられるでしょうが、それが出来ない理由があります。ひとつは、なぜか、経費も手間もかかったものほど付加価値がつかないという、芸術界の常識があります。焼き物なんて元は土でっせ、名画の絵の具代なんて、たかがしれてます。しかもすぐ出来ちゃうんですよ。このように、人間はあやふやな、元手のかかっていないものほど、大金を出すように出来ています。私も金があったら欲しいけど。黒田辰秋の木を刳って作った小箱が大体、¥600万。加藤唐九朗の茶碗も同じくらいの値段です。刳り物の箱なんてコツコツやらなければならないですが、茶碗なんて、いい物ほど瞬時に出来ます。逆に付加価値のつかない最たるものは大工さんでしょうか、いくらいい仕事をしても時給ですからね。

もう一つの理由は、これは直に美術商から聞いた話ですが、工芸品が付加価値を生むには、数千点以上の数が流通しないと難しいそうです。やさしく言えばブランド化でしょうか。「うちには、○○先生の皿が3枚もあるざまーすよ!」「なんの、うちなんか猫の皿まで○○先生ざま~すのよ!!」てな具合です。(赤塚不二夫世代じゃないとわかりません)木工家が一年に作れる数なんて本当にしれています。そこを、弟子をたくさん取ることによってクリアーした木工家もおります。しかし、そうなると経営者としての自覚も要りますし、気ままな二日酔いなんて出来なくなるのです。

同世代の陶芸家や、弟子取ってる漆芸家が高級外車に乗っているのを見るとちょっと羨ましいけど、わびしくもあります。「もっと、勉強に使えよ!」私は貧乏すが割と満ち足りています。この辺が木工の面白いところでもあります。