木工一覧

図面を引く

今回、本格的なイスの三面図を描いた。初めてのことではないだろうか。

だいたい、イスは複雑というか、微妙なので、実際に作りながら、決定することが多い。

それは、どうも私のせっかちな性分と関係があるのだろう。Dsc_00090001

しかし、今回限られた予算で作らなければならないため、分かりやすい構造にした。図面を引くと、各部品のサイズや、ホゾ穴の位置や角度が正確に出てくるのだ。これは、楽だ。

脚のホゾ組みも、扱い慣れた丸ホゾとした。また、仕上げが楽なように直線を多用した。その分、部材を厚めにとって、ヒノキのたっぷりとした量感で見せるようにした。

「部材を厚めにとって」と言っても、実は市場で買ってきたヒノキの厚みを、そのまま合理的に利用しているだけだ。しかし、実際扱いやすい厚みである。長年ヒノキと対話してこうなったのでしょう。

とりあえず、これで一脚作って、様子を見て一気に残りを仕上げる。

好きなことのみでやっていければよいが、ビジネスはそうもいかんのですね。誰かに手伝ってもらえればいいのですが、各作業、微妙に難しく、危険で・・・・漆はかぶれるし・・・・。

* ところで、「字の綺麗な人は、大物になれない」というように、図面の上手と、デザインの良し悪しは関係がありません。でも、現在なら、アナログ人間の私としては悔しいですが、イラストレーターを使ってスマートに描くのが速いし、便利だと思います。


テーブル その2

Dsc_00040001テーブル6台の製作は段々いやになってきた。元々、量産する工房ではないのである。

例えば、テーブルの脚は、24本もあって、そう考えるだけで、しんどい。実際、飽きるので、うっかりミスも多い。

しかし、男一匹、引き受けた以上は、ヤラネバナラネバ。でも、約束の製作過程をブログで追っていくのは、あんまり面白くないので、程々にします。

Dsc_00110003_2 本日は、午後より、タモの盤を買いに池川町の仲林さんの製材所に行く。約1時間のドライブだ。池川町は桃源郷のようで大好きだ。

昔は、紙の原料となるコウゾで栄えたらしく、河沿いの、ごく小さな町なのに居酒屋が多い。前の河原にテントを張って、居酒屋巡りをしようという話がある。

Dsc_00190004 以前は、遊郭だった建物が残っていたが、今はどうだろう。お姉さんはいたりして。映画館も2つもあったそうだ。

目的のタモは、幅が狭いところで65cm位、やや目が粗く、アテているので大胆にもテーブルの脚材として小割にしてもらった。軽くなりました。腰も痛いし。

我々は、広いものはついつい、テーブルや座卓の天板として、製材することが多く、えてして、脚材が不足するのです。

Dsc_00070002 注目は、このキュートなフォークリフト。

電動で音もなく進みます。もう売ってないそうです。


座卓出来ました。

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ヒノキのテーブルを作りつつ、注文の座卓の拭き漆が終わり、組み立てました。

このタモの座卓は定番品でわりと人気があります。天板が洋テーブル用の薄めの板で出来ていて、しかも下側の角を取っているので、よけい薄く見えます。

各部の角を丸めていますが、なぜか緊張感は失われていません。(自画自賛!?)洋室にも合います。実際、今回は洋室で使われるようです。

Dsc_00150001 こんな感じで、漆を塗った後、囲いをして、脱水機にかけた湿った布で覆い、乾かします。

手前に見えるのは、ヒノキに漆を塗ったらの・・・テスト中の手板。

昨夜は、東京からはるばる従兄弟が来ていたので、温泉入って、飲みに行って、またちょっと二日酔い。

ところで杉本君、今年の波乗りの忘年会は、おまんくのすぐ近くやき、こんといかんで。ひとのブログ見て、笑いよったちいかんで。


ヒノキを削る

ほとんど、本業の木工に関する記事の少ない私のブログですが、今回出来るかどうかわかりませんが、テーブルの完成までを追ってみようと思います。

ヒノキを削ると、工房に始終ヒノキのいい香りがたちこめます。しかし、一番強烈なのは、昔、樟脳の原料になった楠(クスノキ)です。生クスノキは箪笥の中のあの香りより、はるかに甘く、クールミントガムを噛んでるような感じ。かなり酔います。檜もやっぱり、甘いですよ。

ヒノキは、食わず嫌いで、使ったことがなかったのですが、数年前に材料持込で依頼を受けてテーブルとベンチを作ると意外に良かったので、たまに使うようになった。Dsc_00010001

これは、テーブルトップの製作。4枚の板を剥ぎ合わせている。都合、2枚分。プロの方から見れば、「模様合わせが下手やな~」と思うかもしれませんが、これは裏です。

適度に柔らかくて、軽くて製作するにも楽だ。

人間国宝の黒田辰秋が「檜は魚で言うなら、鯛。木材の王様」と言っているように、加工が容易でやさしげな割には、確かに存在感もあります。

ただ、檜や杉を使っている木造住宅のなかでは「似たも~の同士なの~よ」ってな感じで面白くありませんし、どうやっても和風っぽくなってしまいます。

よって、檜の研究はもう少し後にしようと考えていたのでした。   

つづく


ヒノキを買う

店舗用にテーブル6、イス12の発注があった。この不景気にいい事と思うなかれ。予算がチョー厳しいのだ。

私は、注文を断ったことは、ほとんどないのだが、普通なら無理な相談だ。でも、ここの社長には、駆け出しの頃からから世話になっていてノーとは言えないのです。

そんなんで、私の秘蔵の乾燥材は使えないので、市場にヒノキを買いに行った。実は、針葉樹のヒノキについては詳しくなく、事情を説明して探してもらう。

無節のものは、高価な上に面白みがないので、節ありの短い半端モノを買った。

Dsc_00630002 どうせ、これだけでは足りないので、とりあえず、使ってみよう。

短尺の節ありヒノキって安いんですね。これでは林業は大変です。

しかし、いくら材料を安くあげても手間は同じなので、実はあまり意味がないのです。

量産するのはコストダウンにつながると思われがちですが、うちのような工房はそのような設備をしておらず、逆に能率が落ちることもあります。

デザインをシンプルにして・・・・・・なんとかやらねばならねば。

無理難題を引き受けると、意外に収穫も多いものです。仕事ですから前向きにならないと・・・・・・・・。でも、やっぱり体調悪いな~。


お知らせ

先日、お客様より電話があって、我が”開かずのショールーム”を見たいという。妙に言葉が違うと思って、聞くと埼玉県からだという。

どうやらホームーページをみたらしい。有難いやら、恐縮するやら、インターネットって凄い?!

後日、わざわざ埼玉県からおいでになったわけですが、高知の観光旅行も兼ねていらっしゃた。

こちらも、面識がなく、事前に、立ち入った事も聞けないので、打ち合わせ後、次の目的地へ車でお連れしたのと、昼飯にご案内しただけだった。しかも昼飯はおごってもらった・・・・情けない。

高知は、お客好きです。高知でお客と言えば、宴会という意味もあります。例えば2泊3日で来られるなら、1日は朝から夜の部までお任せ下さい。Dsc_00130008

そんなの、面倒だという方でも、おいしい店ぐらいは紹介させて下さい。こればっかりはネットではまだまだ。

あまり高級店は知りませんが(というか、ない。)
季節ごと、お好みに合わせて考えて見ます。

「家具を買うつもりは全くないけど、観光案内だけお願い出来る?」と言う方は・・・・・場合によってはやりましょう。これでも、一度だけですが海外旅行のコンダクターをやったことがあります。

友人の工芸作家達が高知で個展をするときは、夜は3次会までやります。これはもう、ただ自分が飲みたいだけなのですが。だから、全然気にしなくていいのが高知県人のいいところです。もちろん、お酒を飲まれない方にも、それなりに対応します。

「吉良修の木工」からのお知らせでした。


アセチレンを充填する

Dsc_00180001 金具のロウ付けをするのに、プロパンバーナーでは、やはり温度が上がらず、久々に酸素とアセチレンを充填した。

アセチレンはなんと15年ぶりだった。こんなユーザーいない。以前は、金属彫刻をやっていたので、頻繁に使っていたのですが。

使ってみると、やっぱり使いやすい。さっさと充填するべきだった。

ただ、アセチレンと酸素は、ボンベの開閉に中々厄介な決まりがあり、特に私の場合、ボンベは1階、火口は2階にあるので余計大変だ。しかも、妙に危険そうだし。(実際はプロパンガスも十分危険ですが)そんな訳で縁遠くなっていたのだ。

今回より、面倒なので作業期間中は元栓を締めないようにした。本当はいけませんが。

Dsc_00190002_2 ところで、いつも不思議に思うのは、酸素は土佐酸素、アセチレンは高知溶材と別会社になっていることだ。

同じ敷地で、一軒の社屋なのに、壁で仕切られていて、支払いも領収書も別々です。

何か、混ざり合っては不吉であると言うようなジンクスでもあるのでしょうかね。合コンも禁止だったりして。他府県も同じようなシステムでしょうか?

政治家やら防衛省やら業者やら、どろどろに交じり合ってますが。


帯鋸仕上げ

Dsc_00450003 どうも日本人は、「だれがそこまでやれと言うた!」というくらい、精度を上げてしまう悲しい性があるようです。

特に職人は。

だから、いざ出来上がって、三歩下がって見てみると、込み込んでやった割には、面白くナイジャン!てなことになるわけです。

(まあ、原子炉や宇宙ステーションの部品作りには、そちらのほうが向いているのですが)

そこで、今回の帯鋸仕上げ。自分で製材したまま、鉋をかけずに組んでみました。だから、多少曲がっています。まあ、まあいいかな?でも、やっぱり日本人だよな~。ちゃんとしてるよな~。

しかし、こういうチャレンジは続けなくてはなりません。やるべし。

Dsc_00040001_1 ところで、今回使用したホウの木。出来上がって、よく見ると、鈍い光が!散弾です。20年くらい前のものでしょうか。

朴は、葉っぱの大きな木で、「人恋しい木」ともいいまして、人里近くに生えるといわれている。そこに、キジでも出て来たんでしょうか。実際は深い山中でも見かけるのですが。

製材の人は、神社のケヤキとか挽くので、呪い釘はわりに出てくるそうです。

金とかダイヤモンドとか出てこないもんですかね。木工家にとってはボーナス代わりになると思うのですが。実際は、石をかんでいて、鋸の目立て代に1万円ほどかかったりします。貧しいものには鞭で応えるのか!!!

横長棚のHPへのリンクはこちら


今度の客

今度の客は両親である。注文はベットだ。Dsc_01100001

先日、母屋の耐震診断が、倒壊とでた。屋根が重い上に、耐震金物が使われてない等、いろいろ問題があるようだ。ある年を境に対策がとられるようになっているらしい。

そこで、いざというとき、この二つのベットの隙間に転げ落ちて、難を逃れるつもりらしい、一体いつまで生きるつもりか・・・・・恐ろしい。

ところで、これで、母屋の家具は、作り付けの物以外、殆ど私の作となった。
「なんて息子思いの両親!」と思われるかもしれないが、さにあらず、当初は、高い高い、と見向きもしなかったのである。

それが座卓をひとつ入れたあたりから、「以外にいいじゃん」となって、棚、ダイニングセット、ワーキングデスクと広がっていった。親父がパソコンをやるためのデスクも、安物だったが、結局具合が悪く廃棄してしまった。あんまり安い家具は部屋の雰囲気まで悪くしますぞ。いい家具を置くと、その周りから段々いい感じになって来ますよ。本当です。

Dsc_01220001  鈍感な両親でさえ、客になるのですから、営業しだいでもっと売れると思うんですが。なかなか営業は難しいですね。

ところで、親にいくら請求しようかな。まだまだ借金があるので頭が上がりません。

*このベットはスノコにも大量の木材を使っているので、調湿作用があり健康にもいいです。デリシャスなベットでもスノコ部分はベニアのものがありますが、あれは、あんまり良くありませんよ。結露することもあるし。


ナンチャッテ錠前

Dsc_00110001 李朝風の置床のような製品の金物を制作しているのですが、蝶番なんか作っていると、どうも錠前が欲しくなってきた。

しかし手持ちにちょうどの錠前はない。

1、韓国で100円程度で売られているものは、ブリキのオモチャだし、
2、和錠はよく出来ているが、面白みがない。
3、朝鮮のからくり錠は高価だし、数がない。

いずれにせよ、ちょうどの大きさ、デザインの錠前は作るしかない。三日ほど格闘して、何とか目鼻がついた。木工に比べれば楽なもんさ。先日、導入したコンターマシンが活躍しました。

残念ながら鍵の構造はありません。鍵は難しくはないのですが、錠前屋ではありませんので、今回はデザインに力を入れてみたいと思います。でも開錠にはコツがいるかも。だから多少は鍵の役目は果たします。

Dsc_00060001 作業場は殆ど金工室の状態。使う道具造りから始めなくてはなりません。また道具がチッコイのでどこにいったか、すぐわからなくなります。

でも、木工とは別の面白さがあります。やっぱり、こっちが向いているかも。材料は店に行けば売ってるし。丸太を買ったら5年も寝かせなければならない木工とは大分違います。

* 数年前、台湾の骨董屋で、おそらく朝鮮の、からくり錠前を手に入れた。ごく小さなものだが、タガネで線画が施されています。でもヤスリの跡は平気で残しているのです。この辺が和錠にはない味わいです。複雑な工程を踏まないと、開錠出来ない。本人も忘れてしまうくらい・・・・・でも強く引っ張ると抜けるんですね~。う~ん。やっぱり朝鮮のものは、大好きです。