木工一覧

ナンチャッテ錠前

Dsc_00110001 李朝風の置床のような製品の金物を制作しているのですが、蝶番なんか作っていると、どうも錠前が欲しくなってきた。

しかし手持ちにちょうどの錠前はない。

1、韓国で100円程度で売られているものは、ブリキのオモチャだし、
2、和錠はよく出来ているが、面白みがない。
3、朝鮮のからくり錠は高価だし、数がない。

いずれにせよ、ちょうどの大きさ、デザインの錠前は作るしかない。三日ほど格闘して、何とか目鼻がついた。木工に比べれば楽なもんさ。先日、導入したコンターマシンが活躍しました。

残念ながら鍵の構造はありません。鍵は難しくはないのですが、錠前屋ではありませんので、今回はデザインに力を入れてみたいと思います。でも開錠にはコツがいるかも。だから多少は鍵の役目は果たします。

Dsc_00060001 作業場は殆ど金工室の状態。使う道具造りから始めなくてはなりません。また道具がチッコイのでどこにいったか、すぐわからなくなります。

でも、木工とは別の面白さがあります。やっぱり、こっちが向いているかも。材料は店に行けば売ってるし。丸太を買ったら5年も寝かせなければならない木工とは大分違います。

* 数年前、台湾の骨董屋で、おそらく朝鮮の、からくり錠前を手に入れた。ごく小さなものだが、タガネで線画が施されています。でもヤスリの跡は平気で残しているのです。この辺が和錠にはない味わいです。複雑な工程を踏まないと、開錠出来ない。本人も忘れてしまうくらい・・・・・でも強く引っ張ると抜けるんですね~。う~ん。やっぱり朝鮮のものは、大好きです。


金具の製作

Dscn0717 多摩美の彫刻を卒業してからも、一番熱心にやっていたのは金属彫刻で、金具の付いた家具の制作をやっと始められた時には、本領発揮!と喜び勇んだのだった。

しかし、これが大変なことで、何が大変といっても、デザインを考えなければいけないことだ。本当は、それが楽しみだったのだが・・・・・・・・・・・つまり、汗水垂らして働くのではなく、クーラーの効いた部屋で、たまには頭脳労働をと・・・・・・・ところが、

1、長いこと、素材を生かした自然な造形を心がけてきたので、金物のように人間の意図でどうにでもなる意匠というか図案を考えるのは異質で、脳が拒絶する。

2、金具の取り付けは一発勝負だし、品物の良し悪しは小さな金物によるところが大きい。せっかく手間隙かけた製品が台無しになる可能性もある。

3、これでも元はデザイナーをしていたのですが、当時はデザインそのものがお金になったわけで、職人の今は、労働が金になるのです。図面に向かっている時間はカウントされないのです。迅速に考え、取り掛かり、失敗は許されません。厳しい商売。

まあ、幾つかの定番的な意匠が完成すればもっと楽かもしれません。いやだ、いやだと言いながら、挑戦するのはやっぱり好きなのでしょうか。

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この、2台のなんと名前をつけてよいかわからない、銭箱のような(置床にもなる)ものも、金具を付けて完成です。放り込んであるのは蓋と脚です。


マイ ホビー

私の使っている木工旋盤(西洋轆轤)による加工は、二つに分けられる。ウインザーチェアーの脚や、背もたれのスピンドルを挽く丸棒加工と、皿やお椀を挽く鉢物加工である。

どちらも相当に難しく年季がいる。また、片方が上手くなっても、片方は使用する刃物も違い、別の技術が必要だ。ゼロからのスタートとは言わないが、それに近い。

Dscn05920001 近所にロクロ師がいれば、する気もなっかたのだが、必要にせまられて、泣く泣くはじめたのだ。当然椅子の脚などの棒加工の方である。

初めて回転する材料にバイトをあてたとき、木がばらばらとちぎれて、前途の多難さを思い知った。しかも、ちょっと力を入れすぎるとロックといって、突きこんでしまい、固定した材料が吹き飛んだりする。怪我もしました。

もう、棒は数百本、数千本と削りましたんで、かなり上手ですよ。今度イチローにバットをプレゼントしようと思っているくらい・・・・・・・・・なんかそっちの方が儲かりそう。

ところで、2年ほど前から、暇なときに鉢物加工もはじめた。もっぱら薪にしていた端材を使う。これは本当に趣味の領域だ。でも、だんだん上手くなるんですね~。これが。

教えてくれる人もいないので、外国のビデオが先生だ。カナダでもっと勉強しとくんだったなあ。まあ、結局は自分でやるしかないのですが。

Dsc_00130001 いまのところ、お父さんが日曜大工で本棚作るみたいで、とても新鮮です。器が自分で出来るのは、やっぱりうれしい。

適当にやってますが、同じものを5つとなると、これはプロの領域でちょっと難しい。一番上は蕎麦猪口、下はスパ皿です。

これに、後、漆を塗ってゆくのも楽しみです・・・・・・本当は、なんだかんだで、結局は金にかえてやろうと思っているのですが。


修正

Dsc_00010001 修正という言葉が適当かどうかわからないが、ダイニングテーブルの脚の先が、カミキリムシの穴のあったせいで、変色していた。腐っていると問題だが、そうでもないので、そのまま塗装すると非常に目立ってしまった。

これを放っておくと、ずっと気になるし、商談のときは、お客様が気づかぬうちから、懺悔し、値引き態勢に入ってしまう。

ルーターとノミでかきとり、埋木する。同じ木片を使うのがミソだ。

Dsc_00120001 ほらわからなくなったでしょう。結構大手の木工所の製品でもよく見ると、失敗した箇所を埋木していることがある。ムクの材料だから出来ることだ。

人間国宝の黒田辰秋のダイニングセットを見たことがあるが、間違って鋸を入れた跡があった。「アチャ~!」なんて言ってたか知らん。このあたりが上手いんだな。この人は。あんまり完璧だと疲れるでしょう。Dsc_00050001

話は、全く変わりますが、ツバメは巣立ちの季節です。半分以上空き家になっています。こんなデッカイ雛たちにえさをやる親の苦労は大変なもんですね。


一人膳

本日よりホームページ、リニューアルしました。内容は殆ど変わらないのですが。徐々に製品を増やしていきます。

Dsc_00980001 一人膳作りました。材料は栗。たまたま、そんな板があったので。二つ作りました。ムシも喰っている。

先日の梓の展覧会に出したのに売れなかったな~。酒飲みにはたまらんでしょうに。

直径50cm高さ9cm 拭きうるし仕上げ。一度錆うるしを入れています。¥105,000(税込)

下手な木工旋盤が良い味を出しています。脚の形状はオリジナルですが、似たような骨董があればごめんなさい。

Dsc_00660001 裏返すと、妙にカニみたい。もう一つは3本脚です。こちらの方が、安定するようです。

こんな形の脚も、刃物で、割合難なく削れます。やっぱり年季はつむものです。でも16年かかりました。

能力のある若者が、フリーターなんぞで時間を潰しているのは日本の大きな損失です。小説家になるなら、キャリアを重ねているといえるかもしれませんが。そんなに小説家はいらんし。


鳥獣戯画

Dsc_00650001首都圏のお客様から、丸テーブルを頼まれた。遠方だと打ち合わせは慎重になる。何度か写真をやり取りする。

しかも、ウサギが好きなので、お任せするので、鳥獣戯画のなかから、見繕って何点か、どこかに彫り込んで欲しいとの事。ウ~ン・・・・・・

「私はスーパーマンじゃありませんで~」しかし、偶然、彫刻科を卒業している。やらにゃいくまい。

線彫りでは味気ないので、レリーフとした。また、効果をあげるためにオイル仕上げでなく、漆塗りとした。

一年ほど前、仏壇を作った際、仏像も彫ってみようと買っていた彫刻刀が役に立った。こういうものは道具が仕事をするのであって、彫刻刀の場合は小が大を兼ねるのです。

Dsc_00150001何とか出来た。仕上がった材料にブッツケ本番というわけにはいかないので、端材で練習しました。かといって一週間も練習するわけにもいかず、辛いところです。

蛙に投げ飛ばされた ウサギの口から「プハッ」と出てるのは私のアドリブです。目にはアワビを使っています。

なんでもそうだと思うのですが、お客様の無理難題は、大きなチャンスです。実際のところ今回も、こういうスタイルもありかなと思いました。

Dsc_00100001 なんか、全体像も兎っぽいですね。

ところで、ホームページの改修は、水面下でボチボチ進んでいますが、完成は五月の中旬になるのでは考えています。別に大して変わりませんが。


兼用テーブル

Dscn0812 数年前に、座卓を買って頂いたお客様から、新居にどうも座卓を置くスペースがないので、とりあえず天板を利用してテーブルに作り変えてもらえないかという依頼があった。

しかも、また座卓で使うかもしれないので、分解できるように。

ウーン、そもそも座卓として作ったもんなんで・・・・・・デザインのポリシーからして・・・・・・「座卓もテーブルもオーダーしてもらわんと困ります!!」なんて事は言えませんね。

やってみりゃー何とか出来た。若いお客様は合理的で賢いのかもしれない。

ところで、最近は宴会もテーブルが多くなりました。中高年は膝が痛いようで。私も腰痛なのですが、やっぱり座卓も良いです。寝ながら酒が飲めるし。昔のギリシャ人みたい。

Dsc_0040 庭も春めいてきました。目の前の加茂山の山桜は散って、ソメイヨシノが満開です。明日は花見か。


紺屋の白袴

Dsc_0032 紺屋(こうや・こんや)の白袴(しろばかま)とは、広辞苑によると「他人のためばかりに忙しくて、自分の事をする暇のないことをいう」らしいが、実際のところは「貧乏暇なし」であろう。

学力低下の叫ばれる今日、念のためにより平明にいえば、ジーパン屋が忙しくって、自分のパンツを染める暇がないってことだ・・・・・昔リーバイス501ホワイトをはいていたが、あれは安くはなかったが。

そんな訳で?台所の照明を30分ほどで作りました。(ここにあった照明を展示場へ入れたもので)電球込みで500円位で出来て、実用上問題なし。実際はとても明るいですよ。

Dsc_0036 ところで、アナログ人間の私にとって、唯一元を取ったと思っていた電子辞書を落として液晶が割れました。困りましたが、最近はパソコンに翻訳機能もあり、金髪女性との付き合いもありません。日本語なら広辞苑をひくのが、ずっと面白いです。広辞苑はでかいのですぐ見つかりますし。


キテマス キテマス

Dscn0760_2 これはバイオリンチェアーの座板です。座板の成形を数十枚もやっていると我ながらうまくなるもんですねー。

なんか飛行体みたい。しかし削るのは大変です。この座板の場合、裏もですから。

凸面を削るのは、のこぎりやら、電動鉋やら、沢山道具もあり簡単なのですが、凹面を削るのは、かなり特殊な道具が必要になってきます。特に電動工具は刃物がそれだけ出っ張っているわけで、危険な作業となります。

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この椅子は背もたれの笠木も手彫りの工程が多く苦労します。初期型は左右のドロップも一本の木から削り出していたのですが、現在は作業の大変さもさることながら、材料がもったいないので、接着しています。

左にあるのが初期のもので、こういう椅子は雛形を残しておかないと、自分でもわからなくなります。

今回は、フラメンコギター演奏という特殊な用途で、全体が前方にやや傾いております。これより6回程、拭き漆をして完成です。


椅子できました

Dscn0723 椅子やっとできました。なんとなく体調悪いままフウフウ言いながらでした。歳でしょうか。

ついでにテーブルと一緒に今日納品しました。塗料のオイルがまだ乾いていませんでした。お客様がいいとおっしゃるので・・・・・・・

今回、安いオイルを使いました。安いオイルは風合いが良いので、無理してでも使いたいのです。

なんのことやらと思われるかもしれませんが、安いオイルは、原始的なオイルとでもいいましょうか、乾燥が非常に遅いのです。よって乾燥促進の成分の入った高価な近代的なオイルより結局は高く付きます。

時間さえ許せば半年位乾かして、二度目の塗りをすれば、そりゃもういい艶が出ますよ。

近代的なオイルは条件にもよりますが、1~2日で乾燥します。量産家具の現場ではそれでも待ちきれずにウレタン塗装をする訳です。

Dscn0735 ともかく久々の大物の納品でしたので、夜の街にパーッと繰り出したいところですが、ぜんぜんその気にならないのは、単に体調悪いのか、前途への不安か、歳なのか・・・・・・・・

アーーーーッ 全部、バカと阿呆の政治家が悪いのだと思います。