張替えで預かったYチェアーの一脚が・・・・
こりゃ、いかんわね~。
断面も広いしエポキシで大丈夫やろ。
俺が乗ってもビクともしない。
洗浄、オイル塗装も終わり、
2脚完成。
件の椅子も3脚目に完成!あれ、ラインが変だな?
アチャー!やっぱり座編みは凄い力が加わるんですね。エポキシ接着剤も万能じゃないな。
なんとか再度、解体出来たのが幸いです。貫を新たに作って一からやり直しです。
標準のカバ材がなかったので、より頑丈なハードメイプルで修理しました。
また一つ勉強になりました。
「ハイエース」関連に続き、最近は「Yチェア」「Yチェア 張替え」でもGoogle検索で1位を獲得している。
さぞ、張り替えの注文が多いと思われるでしょうが、実際はボチボチ。丁度いいぐらいです。
これが簡単な作業なら、年老いた父親に丸投げして全部ピンはねしてやるんですが、長いことやっている私でも体力的にも技術的にも大変な仕事です。
今回は九州から4脚。“梱包システム”は送料がかかるけどゴミが出ません。
これからは家具の輸送にも使う予定です。
破損個所がありました。完全に木取りのミスです。でも、綺麗にパックリ割れているので簡単に治ります。
この4脚、全くホゾの緩みがない。以前張り替えた、アメリカ滞在中に買ったという2脚と非常に似た印象でした。
お客様に聞くと、デンマークで買ったとのこと。やっぱり。
カール・ハンセン社の日本仕様は品質が悪いような気がします。小柄な日本人なら大丈夫だと思っているのか。壊れたら、また買ってくれると思っているのか。
並行輸入品の脚を切った方がいいかもしれません。(輸入品は2㎝ほど脚長。)
勘ぐり過ぎだったら、ごめんなさいね。
今日は木工の中でも、ごく限られた製作者にしか関係ないマイナーな話です。
Yチェアに張るペーパーコードは最近、国産品を使っていましたが、きちんと強度を調べようと高知県工業技術センターに持ち込みました。
以前は木材の乾燥や椅子の強度試験でよく御世話になっていました。
まず、30センチの試験材の重さを計ったら、国産はデンマーク製の77%しかありませんでした。バラつきは殆どありませんでした。
アナログメータで計るのかと思ったら、パソコンと連動していました。荷重と同時に伸び率も記録されます。
チャッキング。測定開始!
切れた。
大体似たようなデータが取れたので、2本ずつで止めました。
左がデンマーク製、右が国産。強度はデンマーク製が上でした。一本で453キロに耐えます。国産の特徴は凄く伸びるということ。復元性の問題もあり、いいのか悪いのか分かりません。
単位重量当たりの強度は197と200でほぼ一致しました。つまり国産はデンマーク製の77%の強度であるということです。
デンマーク製の方が細いので、沢山張れそうに思いますが、テンションをかけた場合の太さはほぼ同じです。
さら詳しい試験も出来るそうですが、研究者じゃないし十分です。
昔お世話ななったSさんに言わすと、実用上大差ないとのことでした。両者を同じ条件で5年10年と使ってみて評価するのが確実でしょうけど。
まあ、Yチェアの張り替えはオリジナルを使うのが無難ということでしょうか。
国産ペーパーコードの“はやせ株式会社”に問い合わせると「何人かの木工家にもう10年も供給しているが耐久性や強度不足のクレームはない。」とのことでした。
最近、Yチェアの張り替えが増えました。矢張りハイブリッド張替えが人気のようです。
しかし、荷物の開封や梱包は手間なものです。お客様は、もっと大変なのは言うまでもありません。ゴミも出るしな。
ほんで、NASAの協力を受け、新システムを開発しました。
ここまでは前回と同じですが、包材は蛇腹のマットを使います。
まず、上半分に被せます。ゴムがきつくて一人でやるのは難しい。
片方を出来るだけ奥まで被せるのがコツです。
裏返して・・・・・・
もう一枚被せて・・・・・・可愛く紐で縛ったら完成です。
先に包材一式を宅急便で送ります。納品が済んだら同じように箱に詰めて、着払いで送り返して下さい。
往復の送料がこちら持ちなのが難ですが、中途半端な梱包より安心です。
2脚以上でしたらシステム使用料は無料です。
Yチェア2脚を張り替えると、入れ換わりにまた送られてきて、やっと終わったと思ったら、まだ2脚あるという。
つまり、一度に椅子がなくなると困るから、同じ包材を利用して3回往復させていたのです。実に賢いやり方ではあります。
輸送には手間要らずの「家財宅急便」を推薦していましたが、東京→高知が8千円もします。
今回はクロネコの「ヤマト便」で送る方法を説明します。
重ねてもカックイイな。
写真のように6か所を紐で縛れば動きません。きつく縛って下さいね。
紐の色は赤じゃなくても結構です。
上からプチプチや毛布をかけて2ヶ所縛ります。
裏返して縛ったら出来上がりです。
「ヤマト便」の場合、東京まで2脚で3千円くらい、契約をしていれば2千円くらいです。
私のブログの読者はダントツ圧倒的に東京都が多いです。何故かは分かりません。2位は英語圏です。これもよく分からない。
今月半ばに、家具の修理やらで上京しますが、直接会って家具の発注をしたい人がいれば連絡して下さい・・・・・・いないとは思いますが。
クッション入りの張り替えが人気なのか、ぼつぼつYチェアが持ち込まれます。今回は京都から。
7割方は前後にガタがきているので、解体修理をします。外れにくいホゾをハンマーで叩くのもなんですから、治具を工夫しました。(俺のじゃないし。)
この軽四用のジャッキは、安価で使い道が多いです。
矢張り、ホゾ先よりホゾ穴が深い。今回は3~7ミリの範囲で、前回よりはましですけど。
きっとホゾ先の長さがまちまちで深めの穴を開けているんだろうと思います。
ペーパーコードの“ハヤセ株式会社”に「なんとか直接販売してくれないか?」と連絡したら、直販ショップが出来ていました。知らなかった。
静岡の販売店の半値以下です。有難い。
今度のペーパーコードは異常に綺麗に張れます・・・・・と言っても誰でも出来るわけではありません。
コツがありますが・・・・・・・・・・・言えん。
でも、数をこなせばアホでも出来ることは私が実証しています。
6脚あるYチェアのうち一つだけ、前後にカクカクするので修理してほしいと依頼があった。
座編みはまだ十分綺麗でしたが、バッサリやってくれとのこと。
うーん、このホゾ先の形状はいけませんな~。
前にメーカーで張り替えた時にいい加減な修理をしたのか、最初からなのか?
木片を張り付けて、ホゾ先を再度削り出す方法もありますが、そんなに暇じゃないしな。PIボンドをタップリ充填する方法をとりました。
しかし、この個体だけなのか、ホゾ穴がホゾ先より10ミリも深い。難義です。
前にも書きましたが、上の座面のホゾは細過ぎます。
下の貫のホゾは幅があり過ぎて、材の収縮の影響を受けます。ここを2本の細い貫でつないであれば、Yチェアの故障はぐっと減ると思います。
ガチガチに組上がりました。
後脚は複雑なラインで曲がっているように見えますが・・・・・・・
2次曲面なんですね~。
45°に捻ることで深みのある表情を作っているのですね。伊達ではないぞ、ウェグナー!
ついでに、実家で使っている椅子4脚も修理しました。
このタイプの脚は丈夫なのですが、流石に杉では無理があります。でも20年使っています。これで、後10年は大丈夫でしょう。
昨年張り替えたスツール。これも内部にクッションが入っています。
このところ、昼間は雑用が多く、夜は飲みに出ていたので、懐は寂しくなるばかりなのじゃ。
もうそろそろ、ブログもいつものペースになるかな?
久々にYチェアの張り替えをしました。財政厳しい折、貴重な現金収入です。
しかし、久々にやった一脚目は気に入らなくて、計5脚張ったら、手が腫れあがりました。
それでも、張り替えは無心になれて、割と楽しいんですが、荷物をほどいたり、再梱包したりめんどくさいです。お金を稼ぐのは何にしても大変ですね。
4脚分のクッション。
紐の結び目は、なるだけ1番下の層に来るようにしないと、クッション材が入りません。
一ヶ所、失敗やな。
このように、このタイプの座編みには、緩衝材を入れるのが普通なんですが・・・・・面倒なんでしょうね。
座面は、ガチガチに仕上がります。こんなことなら、もっと早く頼めば良かったと、お客さんからメールが来ました。
ハイエースの8ナンバー化の改造をやっていますが、案外大変です。普段使わない木ネジやべニアも使っていますが、これはこれで別の技術が要ります。べニアはすぐささくれるし、全然面白くありません。
ベット設備については、杉のフローリングの床があるのに、やっぱり作らないといけないようです。友人たちは、マジックで描いといたら、とか水糸張っといたらとか、無責任なことを言っています。どうやら、それなりの構造物がいるようです。コンパネや絨毯を敷いただけではだめなようです。
この前の続きのYチェアーの話です。特に面白い話ではないので興味のない方は読まない方がいいです。
この椅子が弱いことの、もう一つの原因は前脚と後脚をつなぐ構造材が2本であることでしょう。ペーパーコードを張る部分と貫。これは致命的だと思います。
座面に紐を張るタイプの軸組み構造の椅子では、貫は殆どの場合2本以上です。多くの資料が載っている“UPPER CANADIAN FURNITURE” を見ても、通常は2本、肘付きだと3本、ロッキングチェアーになると4本、都合5本の構造材でつながっています。
Yチェアーの貫はその分、太く作ってあるんですが、貫の場合、太く作ったらいいというもんではないんです。全体に柔構造でありますから、細い貫2本が絶対に効きます。でも、そうなったら下半分が平凡な印象になりますが。
ウェグナーはこの件で製作ともめて、工場の床に寝っ転がって駄々をこねたそうです・・・・当然ウソです。でも、この部分は相当もめたと思います。
ただ、前回書いたように、乾燥がもっとしっかりしており、ホゾの精度がよければ、相当いけると思います。どちらにしても、子供のギッコン、バッタンに耐えられる椅子ではありません。
どうも、落ちが見当たりません。使用にあたっては、座面の張り替えのことも頭に入れておかなければなりません。結構維持費がかかりますよ。美しいものにはそれなりにリスクがあるんですね。
フェラーリやシャコタンは腹するしな・・・・・・・・うまく落ちたかな。