漆刷毛

今日のは木工家向けにみえて、実はお客さん向けのブログです。

Dsc_0003 塗漆は写真のような刷毛を使います。

通し刷毛といって、中に女の人の髪の毛が通っています。それを、チビてきたら、鉛筆のように削り出して使います。

その時、穂先の形も整えなければなりません。私のはもう相当変形しています。テープを巻いているのは折れたんじゃなくて、かなり力が要るんで、指が痛くなるためです。

以前は拭き漆でやっていましたが、塗膜がないので半年もするとスプーンの先端が剥げて木地が見えてきます。口にするもんだし、耐久性がないと困るので、今はもっぱら塗漆です。

仏像の製作から、ロクロ加工までそれなりにこなしますが、塗り漆だけは厄介です。本職のように常に続けてないと、不都合なことが多いのです。刷毛や漆をスタンバイさせたり、しまうのも大変手間なので、本当は、一日中続けられる量の製品が欲しいのです。

漆の乾き具合の調整やら、ゴミ対策は本職でないと困難です。ウチには塗漆専用の部屋はありませんから、どうしてもゴミが混ざってしまいます。

大概の事は「奥さん、これが手作りの味でっせ~!!」という、私ですがこればっかりはね~。「そのうち取れます」としか言いようがありません。漆芸家に笑われたら「オメーに、こんだけ下手に塗れるか?」と言ってやります。

それでも、最近は大分上手くなっています。

落ちのないブログですいません。ちょっと、しんどいのじゃ。納期のない仕事は普通引き受けないし、すべて余裕で仕事を進めるのがポリシーですが・・・・・・背に腹は代えられんのじゃ。


捨て塗り

Dsc_000255 下地に、一回生漆を浸み込ませた状態です。高杯にも塗りました。

スプーンは塗漆をしますので、拭き取りはせず、指でしごいたくらいです。

軽くペーパをかけた後、もう一度生漆を浸み込ませて下地は終わりです。

Dsc_000866 漆風呂です。ここで湿度を上げて漆を乾かします。水分で硬化するというか。

本体は杉で出来ています。回りに椅子用の低発泡ウレタンの耳を張っています。

普段はあまり使いませんが、小物や塗漆の時は必要です。

Dsc_001766 内部はこんな感じ。

霧吹きで内部を湿らせて使います。

後ろに張ってあるのは、以前使っていたベットシーツです。

そんなこと書かなくてもいいのにな。

ここんとこ、働き過ぎたので、今夜は飲みに行こう。なんか、俺が真面目に働くのは、納期がキツイ時だけだな。

忙しいのに、ブログの更新まですることないのにな。


塗りの準備

今日も一般の人にはわからない木工家専用のブログです。

木のスプーンの塗りの準備をしています。納期がぎりぎりなので、先へ先へ段取りを進めなくてはなりません。今回は久々に漆風呂を使うので、1週間前から湿を打って調子を出すようにしています。

Dsc_000955 これは、手持ちの呂色漆を乾くかどうかチェックした手板です。古いものもありますが、大丈夫なようです。漆はあんまり古くなると乾かなくなるんです。

以前、京都のS商店から国産赤呂を買って、チェックをせずに使ったところ、乾きません。かといって拭き取ることも出来ず、漆芸家に泣きついたところ”膿む”といって、どうしようもない状態だから廃棄するのが一番いいとのこと。残酷じゃ~!諦めきれずにいろいろ試みましたがだめでした。スプーン全部に塗ってしまったので30万円ほどの損害でした。思いつきで店を替えたのが間違いでした。文句も言ってないけど、ここに発表しておきます。チェックしなかった私も失敗です。漆仕事に関しては全て”急がば回れ”で進めなくてはなりません。

拭き漆の漆がどうも乾かないと思ったら、漆自体が悪いことも多いです。また、純国産漆と書かれて出回っている漆もブレンド品みたいですね。ブツの純度が低いな・・・・・・・とセンター街の怪しいイラン人も言っていました。

私は、今は信頼できる闇のルートを確保していますが、普通の人が漆を求めても良いものは得にくいと思います。Dsc_0002323

木地が出来ました。納期に自信がなく、70本しか出来ませんでした。

無理をしたので爪と肉が剥離しそうです。腱鞘炎もひどい。

今回は塗り漆なので、木地は少しいい加減です。


続、木のスプーン

昨日の木のスプーンの最初の木取りですが、それぞれを、ビッチリ隣接させて無駄なく墨を打つのが普通だと思いますが、そうすると、バンドソーで挽いていると、一本削り出すうちに、材料から刃が外れることが何度か発生します。

そうすると、ラインは乱れるし、時間がかかります。鋸身にも機械にも無理な力がかかります。材料の余裕にもよりますが、贅沢に少し放して墨を打つと、一本のラインで切り出せてスムーズかつ美しいです。どっちを取るかですけど・・・・・最初のラインの正確さは「マス・オオヤマ方式」には大切です。Dsc_001066

グラインダーであらかた削った後、彫刻刀を使います。趣味の木工ならば納得のいくまで出来るでしょうが、仕事の場合、悪く言えば”許される限り適当にすませて”次に移らなければなりません。

良く砥いだ刀であれば、ホウはサクサク切れます。

Dsc_0002333 作業台の穴に照明を差し込んでいます。

細かい連続作業の場合、適切な照明が、作業を楽にしてくれます。

夜なべの作業で見にくい場合は、あっさりあきらめて、次の日に回した方がいいです。

今日は、クソ真面目な、木工家のためのブログで終了します。

ところで、恥ずかしながら、全然知らんかったけど、政治家の「小渕優子」はどうも、取ってつけたような不思議な国会議員だと思ってたけど、小渕総理の娘なんだね。

日本の政治家って、地方の商店街のオーナー一族みたいだね。


スプーンの製作始まる。

結婚式の引き出物にとスプーンの注文を受けた。でも、数はチョビット。少数精鋭の結婚式だろうな。一度に100本は作らないと採算は取れない。納期はないが、少量の赤字仕事は出来ないので頑張らないと。

スプーンの製作は利益が薄く、趣味の領域かもしれない。でもお客様にとっては、良く使うものなので元が取れ、おススメです。実際、追加注文される方が多いです。

Dsc_00213 勘を取り戻すために一つ作ってみました。マイナーチェンジで、先端の凹みが少し深くなっています。

それから、今回から画期的な「マス・オオヤマ方式」を導入しました。

これは、金網デスマッチや素手で熊と戦ったりしながら編み出した手法で、容易に教えることははばかられるのですが、今回に限り、こっそり伝授します。

それは”墨線ぎりぎりを、紙一重で見切り、バンドソーで切断するということです。”ベルトサンダーでの仕上げが早く終わるし、ペーパーの痛みも少ない、一石二鳥の手法なのです。当り前ですって・・・・・それが中々出来んもんなのよ~。

Dsc_00296 「マス・オオヤマ方式」で続々生み出されるスプーン達。

材料の中で最後に残るのはほんのチョビットなのね。


昼飯時に。

昨日、正午過ぎ、昼飯を食ってる最中チャイムが聞こえた。お客さんのようだ。

昼飯というのは、日がな一日、地味な労働に従事している職人にとって、侵すべからざる大切な時間で、夜の宴の次に楽しみにしているものです。

そんな訳で、不機嫌になり、いきなり「何かお探しですか?」と聞く。40歳前後の男の方でしたが興奮していたので良く覚えていません。口元は笑っていても、目はつり上がっていたと思う。以前、やはり昼飯中に訪ねて来た、さして親しくない友達が泣いて帰ったことがある。普通に話しただけなのにな。

聞けば、高知県の森林関係の小冊子を委託されている会社で、今度の号のアンケートの賞品が欲しいのだという。5000円くらいで。

ショールームに案内しながら、

『ヤバイ!工房の名前出すから、タダにしてくれなんて言われたらブチ切れそう!!』

フォトフレームがいいだろうと半ば強引に決め、幸い払ってもらえましたが、万札出してお釣りやら、領収書やら・・・・・・・。本日のメニューは中華丼に焼き魚、もう冷えてるだろうな。黙ってはいられない性分ですので、こんな時間には失礼やろー!電話を入れろよ。と穏やかに意見しました。ひどいお店に来たもんじゃね。

私もデザイン事務所をやっていた時期があるんですが、やっぱ、アポなしで正午の訪問は非常識です。今でも材料を近所の製材でちょっと賃挽きしてもらうときは、夕方動力の電源を落とす直前に行って、やってもらいます。もちろん料金は払うんですが、気配りですよね。

でも、これがダイニングテーブルなどの高額商品のお客様だったら・・・・・・・・瞬時に食事のことは頭から消えるでしょう。いやな奴だって?とんでもない、伊達や酔狂、道楽で木工やってるんじゃないんです。木工にはお金がかかるんです。

それに、社用で小物を買う人と、個人で大物を買うお客様とは私にとって全然別物です。無名の私の製品に大金を投入出来る人は、自信も、見る目もあり、胆力のある人だと思います。

まあ、そんな人は昼飯時には来ないしね。


山シギ・ジビエ

先日、山シギの料理を御馳走になった。いわゆるジビエ料理でも最高峰に属するらしい。こと、国産山シギはレストランでは食べられない。

Dsc_0016 残酷ではありますが、旨そうですね。

私も、以前教師をしていた時、書道の先生が校舎の窓に激突したヒヨ鳥を「食わんか~」と持ってきてくれました。はっきりって迷惑でしたが、アウトドアマンとして堂々と頂戴しました。

初めは恐る恐る毛をむしってましたが、途中からよだれが出ました。すごく旨かったです。朝は骨でおかゆを作りました。

Dsc_00126 虎の巻を見せてもらいましたが、なかなかキュートな鳥じゃ。”セロ弾きのゴージュ”に出てきそうじゃな。O塾長がシカ肉と交換したそうです。

本来なら、腐って首が落ちる位(ウジがわくまでとも言う)吊るしたのが、食べごろなんですが、なかなか日本人には・・・・・くさやを食べるのにね。

小指を見よ。木工旋盤ではさまれて、両側の皮が剥けた。ちょっとだけだけど。

Dsc_0021

ちょっと、甘めのソースで頂きました。胸、手羽、モモとそれぞれに味わいが違います。

頭は脳味噌がちょっとカニ味噌っぽかったです。

Dsc_00193 ちゃんと、普通の料理も出ます。

ちなみに木のスプーンは私の制作で、初期のタイプ。素朴でポテトグラタンに合うじゃんか。

下のホウのコタツ板もそうなんです。まあ、ギブアンドテイクがなかったら、こういう旨いもんにはありつけません。

実は最近まだまだ、美味しいものを頂いているんですが、またの機会に紹介します。


一段落。

昨夜は食事に呼ばれていた。そのことは、また後日。

高杯が一段落してホッとしたせいか、少し飲み過ぎたかな。今日はダラダラ過ごす。

Dsc_0038

予定どうり、3台作りました。難儀じゃった。

ひとつも上手くならん・・・・と思っていましたが、出来たものを見るとわずかですが上達の跡が見られます。気持は常に上を目指しているので、製作中は気づかないんですね。

これが、栗とか柔らかい欅だったら楽勝だと思いますが。

早く、塗りあげて一杯やってみたい。

Dsc_00446 沖を低気圧が通ったので、午後の干潮を見計らって近場の甲殿に波乗りに出かける。しかし、波の本数が少なく我慢大会の様相だ。風も冷たいし諦める。

Dsc_00583 仁淀川河口。

広くて大好きな風景だが、全く必要ないコンクリートの護岸が進むんじゃないか心配だ。

幸いそこまで日本の経済は続かないと思う。いいことじゃ。

Dsc_0066 中央部分をUPにすると青さのりを干していました。

高知では、四万十川だけかと思っていましたが”灯台元暗し”じゃね。

これをてんぷらにすると海の香りがしてたまらんです。


目はいいと思っています。視力は悪いですし、老眼も入ってます。そうじゃなくて、モノを見る目です。

高校生の時から、美術方面を志していたので、拳闘家が腕を磨くように、私も見る目を磨いてきたのです。

聞くところによると、生後間もない赤ちゃんに3か月も目隠しをすると、一生弱視か、メクラで終わるそうです。脳に”見る”という領域が発生しなくなるようです。まさか、わざわざ実験をしたわけではないでしょうが。

そんな訳で、「明きメクラ」なんていう言葉があるように、本当に見る、見えるというのは修練を積むと、積まないとでは全然違ってくるのです。

目が良くなると、文化、芸術だけではなくて、テレビを見ていても出演者の体調なんかもわかります。死病にとりつかれている人もわかります。もう、相当前ですが、NHKの松平アナ(個人的には、わりと好きなんですが)が朝のニュースに出ていて、

私が「このおっさん、相当おかしい!」と言うと、
母親が「何言いゆう。世が世なら・・・・・・etc]と怒られました。

しかし、それから一ヶ月もしないうちに、タクシーの運転手を叩いて、降板になりました。松平アナは高知にもいたことがあって、酒は大分好きなようです。

相撲の大一番なんかも、表情でおよそ勝敗はわかります。大男が裸で張り合うわけですから、取り組みの前に勝負はついています。

競馬馬なんかも、馬券を買う前に見れば、的中させる自信はあります。でも、あいつら全馬、ピクピクしてやがるからな。それに、この能力は世界平和のために使うように言われているんです。

いや~、日本の先行きは不安ですな。世界もだけど。国会もお幼稚の喧嘩をずっと続けるのかな。


チョンボ2つ。

その1、 完成間近の高杯2台の軸の部分のホゾを2㎜も細く作ってしまった。当然スポスポでやり直しだ。旋盤加工の練習にはなるのと、今度同じものを作る時は使えるのが救いだ。

単純にノギスの読み違えだ。回転する材料に直接当てるのもデジタルノギスにするか。

Dsc_0017 その2、 バンドソーの刃を交換後、仮止め(ノコ刃を張らない状態)で、内部の掃除をしようと集塵機のスイッチを入れたつもりが、10cm横のバンドソーのスイッチを入れる。

ガリガリいう。幸い大事には至らなかったが、ガバー内部の金属をを少し削る。流石にステライト刃は影響がない。ラッキーだった。

これには伏線があって、2本ある予備の刃の一つを取り出したところ、ヤニや内側のカスがひどく、不審に思いながらも、薬品やスクレーパーで1時間もかけて掃除したのだった。

それが、どうしてもうまくつかない。こんなことは初めてだ。何のことはない、少し短いのである。鋸の研ぎ屋が間違えて、他人の刃を入れていたのだった。「自分の仕事もまともに出来んのかい!!!!!」高知県人の南方的特性とはいえ、情けなくなる。

他人の刃をせっせと掃除したのも腹が立つ。だいたい、乾燥材を挽く場合は、のこ身もホイールもきれいなもんです。

もう一本の替刃を無事はめたところに、丁度出入りの機械屋が来て、苦情を言ったり、世間話をして時間が空いたんです。

更に、バンドソーのカバーが直角に開いていたので、本来お互いに位置関係がわかりやすい、両スイッチが、平行に並んでしまったのです。

もう、私は若年性痴呆で木工は無理かもしれない。