塗師刀(ヌシガタナ)

今日は仕事をしましたが、風邪は完全に治ってないです。腰も痛いのじゃ。

本日はマニアックな刃物の話です。

Dsc_0019 中央にあるのが塗師刀です。上の小刀と比べると、大きさがわかります。ドスの先が折れたような刃物ですが片刃です。

これは左利き用にあつらえたものです。他の刃物は、右勝手と左勝手と両方いるのですが、塗師刀は漆塗りに使うヘラを削るためのものですから一本でいいんです。刃渡りが長いのは矢張り、引きながら削るからでしょう。普通の人には意味がわからないと思いますが。

10年近く前に買ったんですが、一度も使っていません。私の場合、さっさとベルトサンダーで削ってしまうから出番がないんです。漆を使う者には必須の道具と思ったんですが、木工家は鉋を使ってもいいし、小刀でも代用できます。もったいないので、出刃包丁の代わりにしようと考えています。

でも、この刃物は一度だけ役立ちました。

以前、私の工房の隣は町有地で、バス会社に待機所として貸していました。問題だったのは住宅地なのにバスがずっとエンジンをかけっぱなしで停車していたことです。運転手はもとより、会社にも注意しましたが一向に改善されません。バス会社なんて民意が低いですね。私としては、泣き寝入りは出来ず名案を考えました。

アホになって、塗師刀で棒をスパスパ削りながら運転席に駆け寄って、

「おんちゃん、エンジン止めや~。」とやさしく言いました。(目はちょっと白目?)

これは効きました。一度で誰一人アイドリングはしなくなりました。ちゃんと”申し送り”出来てるジャン。

*この塗師刀は、漆用品店で注文した三木の刃物です。高かったのにホームセンターで2000円で買った小刀と同じ商標が付いていました。相当のマージンが入ってる訳で馬鹿くさいですね。現在は三条の刃物屋に直接注文しています。安いです。下の刳り小刀は左久作。その刃物屋が”気に入らないから”と安くしてくれました。硬いけど切れますが・・・・・私は刃物にそんなに頓着しません。