なぜかYチェアの座面の張り替えは重なるもので、今月は16脚が持ち込まれる。流石に飽きた。朝起きると手がむくんでいる。
殆どのお客様はここまで使うか~!というくらいボロボロになって持ち込みますが、これは汚れてはいるもののまだまだ大丈夫。
でも、左の椅子は背もたれのYが折れてありませんでした。
ところで、この椅子の正式名称は“ウィシュボーン(Y字型の鳥の鎖骨)チェアー”です。
いやな感じですね。
穴の角度をきちんと調べてドリルで揉む。
最近、遠近両用眼鏡を外すことが増えてきたな。
刃物を駆使してホジクリ完了。
背もたれのYは2次曲面と思っていたら、当然3次曲面でした。治具から取り出して別枠で乾燥させる。
アイロン曲げ木を使いましたが、純正はラミネート曲げです。まあいいやろ。この部分、売ってくれるのかな?だとしたら無駄なことをしました。
完成。両端は胴付になっていて、面倒なことこの上ない。
しかも上端は6㎜、下端は7㎜。
割れていました。見ると強度不足の部材が使われている。Yチェアはこういうことがよくあります。量産品だからしょうがないでしょうけど。
お決まりのカバやメープルじゃなく、この部分にのみタモが使われています。この組み合わせは普通に見られますが理由は分かりません。
張替えも完了。完璧じゃ。
このお客様は、「Yの部分はもうなくてもいい。」と仰ったのですが、なかったらすぐ壊れるがな。¥15000で割に合わない修復を我から望んで申し出るあたり、人間の不思議を感じますね。
お客さんは「そんなにすんの!?」と言ってましたけど。普通の方がそう思うのも無理はありません。