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タンタル2

タンタル2は、百年以上前に開発された、普通ならとっくにお払い箱の、古いタイプの人型ロボットだ。でも、こいつは名作ロボットと呼ばれていて、ちょっとのろまだが、まだまだ、たくさん現役で働いている。

筒のような弾性金属でできた本体に、やっぱり筒のような手足が付いている。指はなんとか五本あるが、バケツのような頭部に付いている顔の作りなんかはぞんざいなもので、眉と口は上下に動くが、耳と鼻は溶接してある。唯一、目は、まばたきは出来ないものの、クルクル動くし、絞りもある。よくみれば表情豊かなのですが。

とはいっても、その顔はどうも地味なもので、私より小さな子供をしかる時は、ブリキの眉を、自分の指で持ち上げるのだった。後ろにいると笑ってしまうし、子供も慣れたもので、その眉を押し下げてしまうのだった。しかし、静かに向き合って、絞り込んだ目で見つめられるときは、少し怖かったものだ。

この、人型ロボットは、ベランダの手すりに手をかけて、じっと遠くを見つめているようなこともあって、そんな時、家の者は、昔、優秀な召使をそっくり輪切りにして解析し、この機械に埋め込んだのだとうわさするのだった。

ある日、私はタンタル2と庭に出ていた。何をしていたかは思い出せないが、タンタルがハイウエイに砂漠狐の子供が迷い込んだのを発見して、走り出した。エアカーは障害物を避けるので危険はないが、狐の子供の恐怖は相当なものだ。

私も走り出したが、すぐに我々の左を疾走してゆく親狐に気が付き、タンタルの脚に飛びついた。タンタルは、もんどりうって倒れた。このロボットは人間のアタックには脆くセットされているのだ。

タンタルはその瞬間、チラリとこちらを睨んだように見えたが、すでに親狐の姿を捉えていたと思う。目は回るし、照れくさいしで、しばらく、表情が作れず、ブリキの眉と目はあべこべに回転していた。それがやっとおさまった頃、砂漠狐は子狐をくわえて走り去っていた。

「坊ちゃん、ひどいじゃないですか!一声掛けてくれればいいものを」

タンタルはひどいオッチョコチョイで、ああでもしないと止まらないのだ。しかし、小さな金網の隙間からどうやって助けるつもりだったのだろう?

「でも、私は嬉しいんです。坊ちゃんが賢く成長したのが」

曲がった眉を慎重に直してから、タンタルは久しぶりに私を肩車して家に入ってお菓子をご馳走してくれたのだった。


風邪です。

月曜から風邪をひいております。ひと段落してホッとしたのか、あるいは年齢を考えずに、急に波乗りをしたのがいけなかったのでしょうか。これが、ほんとの年寄りの冷や水?

私の風邪は、いつも特別悪くもなく(今回は、のどと、だるさ)ダラダラと続くのが特徴です。よって、用事を済ませたり、読書をしたりして過します。そのせいか、なかなか治りません。

もともと、怠けるのが好きですから、2,3日は楽しいのですが、それ以上になると、焦ってきます。本日も、ブログを書き上げるつもりでしたが、どうもいけません。

新しい仕事のプランは随分出来ているのに、たまっていく一方です。治ったら、少し気合を入れて頑張らんと・・・・・・・・。


忙しい週末。

今週の週末を画像で綴ってみましょう。

Dsc_00120002_2_2 毛皮にされる、アナグマ。カモシカと並んで、尻皮にいいそうです。

Dsc_00030001_3 肉は、別段臭みもなく、野生の豚って感じ。旨かったな~。ずーっと体調すぐれなかったんですが、アナグマ食って、早めに寝たら、すっきりでした。ジビエ料理は薬です。

Dsc_00150003 翌日、6時出発で大方町へ。波はハードで、2ヶ月ぶりの挑戦に溺れそうになる。やっぱり、波乗りは体力です。

しかし、疲労が心地よい。3ラウンドもやる。

Dsc_00320004 最近、すれ違いの多かった、モモとクマの交歓の様子。

モモは、黒くてピロピロしたのが好きなのか?

Dsc_00350005 夕方、いつものように、井の岬温泉に入ってから、居酒屋「8の字」へ。

写真は、ドロメ(生のチリメンジャコ)と生レバー。

ドロメは、サンシャイン大方でも売ってるので、わざわざ居酒屋でもないのだが、矢張り旨い。

9時に寝たので、夜中に目が覚め、小説を読む。

今日も、波乗りして、昼飯は「レストラン三木」でAランチを食べた。久々の休日でした。


疲労する。

個展の後始末や、確定申告なんか面倒なことも終わりました。大変疲れました。私の確定申告は相当いい加減ですが、毎年、残るものは何もないので、もしマルサが来たら、通帳を差し出して、納得のいくまでやってもらいます。あ~木工家は貧乏や。

今回の売り上げも、自由に使える金じゃなくて、向こう1年間の資金ですし、振り込まれるのは2ヵ月後です。その間に銀行残高はマイナスになっているでしょう。こんな私でも、なんとかやっていけるのは、両親が大蔵省だからです。相手が、スーツ着たやくざと呼ばれる、銀行でしたらとっくに破産です。 (お客に銀行マンはいないので何と言ってもいいのだ) サラ金まがいの仕事は、本来の銀行の業務ではないと思うのですが。

いつまでも、親の世話になるのは情けないので、銀行に相談したこともあるのですが、話があまりにもチンピラすぎて、こいつらを、儲けさすことは、びた一出来んと思いました。

資産家の人に聞いたのですが、預金一億程度の人は、業界用語で”ゴミ”と呼ぶそうです。私なんは、匂いも発せず、浮遊する、清げな存在です。

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ところで、これは、先の個展の撤収の様子です。手伝いのF君とKマネージャー。

売り場では、「先生、先生」と呼ばれながら、その前後はタダの人夫です。

まあこれは、中堅どころの作家は皆同じです。でも家具は重くて辛いな~。今回、重い家具は持ってきませんでしたので、少し楽でした。。

高知大丸は古い建物なので、搬入口が非常に狭く、大変です。しかも車は、駐禁の路上に止めなければなりません。これが、さらに、物産展などのイベントと重なったら・・・・。

私の搬出と同時に、よく顔を合わせる八木美術の搬入が始まりました。”茶道具展”です。私なんかよりずっと苦労が多いでしょう。いつも、少し荷物を取り違えたいと思います。

魯山人「木の葉皿盛器」500万ン~!! しかも一枚で~!! そりゃ~高過ぎじゃ~!俺の商品全部売っても、そんだけいくか~?

八木さんは、画廊の従業員や、私などをつかまえて、「ここだけの話だけど、デパートはもう終わりやで~」が口癖で、もう10年前から聞いてます。話がうまいので、黒田辰秋の棗を買わされたことがあります。

「そんな金ありません」と言うと、

「金持ちは目が腐ってるから、こんなもん買わん。貧乏人が苦労して買うんや」というのが決め台詞でした。まあ、私も後悔していませんが。

本日は、これからすぐ大方町に、久々のサーフィンに行く予定でした。(居酒屋「8の字」に8時頃着くよう) 

しかし、先ほど近所のハンターから電話があり、アナグマが捕れたそうで、いただきに行きます。鉄板で塩焼きにするそうです。おいしそうな絵が撮れたらUPします。

早く寝て、朝、出発じゃ~!!


デパートの裏側 

昨日、個展終わりました。地方の低迷する経済状況を考えるとまずまずの結果でしょうか。仕事そのものより、私の素晴らしい人柄によるところが大きいと思います。

今日は、日曜日の話。

Aさんは、いつも洗い髪を引っくくって、よれよれのジーンズと、量販店に積み上げてあるようなサンダル履きでやって来るオバサンです。美術画廊の常連ですので、私もよく見知っています。今回は、両手に野菜を抱えてきました。それを、画廊のソファーに広げて、主婦でもあるマネージャーにおすそ分けしています。なかなか、凄い絵でした。

(てめーら、俺の個展で日曜市するな~!! 実際、日曜市の野菜です。夕方になれば、タダで貰える場合もあるそうです)

実は、Aさんは美術画廊のお得意さまで、絵画のコレクターです。どうして、そんなに金があるのかは知りません。マネジャーが言うには「野菜貰ったら、絵も買ってくれる大変結構なお客様」なんだそうです。なんじゃ~そりゃ~!!

「吉良君も野菜いらん~?」

「いや、今日はこれから飲みに行くんで、ネギ持ってはカッコ悪いです」

私も、とっさに、ネギ貰って、家具を買ってもらう知恵はひらめきませんでした。

う~ん、ネギ貰ったら、家具買ってくれたかな~?

くっそ~!!絵ばかりじゃなく、たまには家具も買え~!!

デパートの裏側はホントにドラマっぽいです。(このお話は、プライバシーの保護のため脚色してあります)


個展の実態

昨夜は、馴染みの店で軽く飲むつもりが、結局午前様で、5時間くらい飲んでいた事になる。あ~嫌だ。たまに、街で飲むと、どうせ最後はタクシーだからと、こうなってしまう。

昼飯も、個展期間中は毎日おいしい店にいけるので嬉しい。残念なのは、東来軒の五目中華が好きだったのに、高齢を理由にあっさり店をたたんでしまったことだ。本日は、大丸のすぐ北の蕎麦屋で食べたのだが、看板の着物のばあさんとは別に、べらぼうに感じの悪い仲居がいて頭にきた。もう暖簾をくぐる事はないだろう。

今日は、割合調子良く売れた。やっぱり、個展に詰めるのは、二日酔いがいいのか?

以前、ワインラックを買ってくれたA医師が、ダイニングテーブルを買ってくれそうだが、「天板が10cm短い」と言う。

「そのくらいは、ちょっと引っ張ったり、コスレばすぐ伸びますよ~」と言いながら、実測すると、私の用意したラベルの表示よりより20㎝長くて全然OKでした。相変わらずいい加減です。

「それとバイオリンチェアーを6脚作ってくれ~」と、太っ腹なことをおっしゃいました。金額的には大変結構な話ですが、6脚揃うとちょっと気持ち悪くなりそうなので、「ここは普通のダイニングチェアーでいきましょう」と提案して、話はまとまりました。

そこから、この先生の場合、シビアな値引き交渉が始まるのですが、大丸の営業もタジタジ先生も、私にかかれば”飛んで火に入る夏の虫”ですぐに交渉成立。

ただ、先生は昔から知っているし、いつでも私に直接注文出来るのですが、今回は、デパートと私を立ててくれたわけです。有難いことです。

近所のMさんは、画廊の中で堂々と「フロアライト、あとで、大丸通さず持ってきて~」と言うので、引きずってきてサインさせました。まあ、Mさんの場合、自社で大丸と相当量の取引があるようですが。

こんな感じで、地元での個展は、全く気取ることなく淡々と進んでいくのです。まあ、私の場合、どこでもそんなに変わりませんが。


個展始まりました。

Dsc_00090001_1 ガラ―ンとしてます。ウ~。もっと、お客さんが沢山いるときに撮っとけば良かったな。

本日は、木工のブログ仲間と言うのでしょうか、こういう関係はなんというのか知りませんが、わざわざ徳島県から来ていただいて、2時間くらい話し込んでいました。本名も聞かずじまいでした。ネットの世界は不思議だ。

ほぼ毎日、会場に詰めますので、帰りは高知市の酒場を吉田類ばりにレポートしようかと考えています。でも全然個展の売り上げがなかったらどうしよう?

パーッと使っちゃえば売り上げもついてくるかも・・・・・・・・そういう問題ではないかもしれませんが・・・・・・・・・実は、一昨年の個展、最悪の結果だったんで、今回はとてもお気楽です。

しかし、デパートも儲けてもらわなければならないので、そんな無責任なことを言ってはいけません・・・・・・・・・・・・でも、作家の先生は、これくらいで丁度いいのだ。


大工と鬼六

個展が近づくと、輸送の段取りや、プライスカードの製作やら、慣れてはいても大変だ。木工の場合、毎回引越しをしているようなものだ。個展をしなくても、飯が食えるようなら一番好いのですが。

Dsc_00100001_1 照明出来ました。うんと細い椿の木を使いました。

どうせならと、背を高くしました。これなら、値段も高く出来るし。ウッシッシ。

昨夜は全部、点灯させて過しましたが、結構いいもんです。薄くて、丈夫な土佐和紙を使っています。う~ん、意外にいけるかもしれません。

Dsc_00200003 ところで、この丸ホゾの直径は僅か6㎜です。我ながら上手く組むもんですね。

これには、秘密があります・・・・・・・・・・「大工と鬼六」の話、知っていますか?

暴れ川に橋を架けられず、困っていた大工が、自分の目玉と引き換えに、鬼に橋を架けてもらう話です。

実は私も、鬼と契約しているんです。それは、ホゾをピッタリ合わす代わりに・・・・・・・・・・・大嫌いな酒を毎日飲むように言われているんですぅ~。ヒャ~!!

大工は、鬼の名前を言い当てて、契約を解除してもらうのですが、私の場合はうまくいかず 「うんにゃ、違う!違う!」と言われてしまいました。

最近、どうやら酒が好きになってきたようなので、次は、身の毛もよだつほど嫌いな、美女に囲まれるよう契約を替えて貰いたいのですが・・・・・・・・。


製材する。

Dsc_00100001 今日は、昨日と違って朝から大忙しだった。

11時まで仕事をして、近所の杉本神社の春の大祭に詣でる。

次に。その隣にある、町営・ギャラリーコパの若手紙漉き職人の展示会を覗く。毎年、”貧者の一灯”で買い物をする。今年は折りよく、照明用の和紙をもらう。しかし、和紙業界もなんとかならんもんかね。木工より厳しいかも。

昼飯を食べて、先日買った、ホウと栗の製材に出発じゃ~!! 今日は、お昼寝はなし。

Dsc_00250002 初めての双名林業、3人がかりで、積み込みまでやってくれて、超楽チンでした。

ここの製材機は、帯鋸の横に、コントロールパネルがあるタイプですが、私はやっぱり、移動する台車の後端に、運転席のあるタイプが好きです。一長一短ありそうですが、銘木の加工には向いていると思います。第一カッコいい。

今回の、製材量は1,5立方で、楽々車に載りました。ハイエーススーパーロングは1トン位載せても、ビュンビュン走るし、ブレーキも効きます。よく働くわ。

Dsc_00370003 幸い、腰の調子はいい。桟積ではなく立て掛けて乾燥させる事にした。しかし、一人では辛い。写真はホウ。

今回、実験的な製材をしているのですが、今は秘密です。(見ればわかるんですけど)

段取りよろしく、たった半日で済んでしまった。

昼寝をしなくても働けるもんですね。


プロトタイプ

本日は、昨夜、御呼ばれした”駅前酒場”で飲みすぎて、二日酔いだった。だいたい、一昨日も飲みすぎて、軽くお付き合いするつもりが、そうでもなかったようだ。不思議だ。個展も差し迫っているのに、たるんでいる。

しかしまあ、高知大丸の個展は15回目ですので、それなりに抜かりはないのですが。

Dsc_00460002 ところで、私の作っているのは家具ですから、そうそう、新作も出来ず、楽しい会場作りには、いつも頭を悩まします。

今回は、いの町特産の手漉き和紙を使った照明を考えてみました・・・・・・・・ちょっと、ひどいですね~。プッと噴出した方もいらっしゃるでしょう。そうです、本来ならプロとしてお見せできないレベルなんですが、ブログですからあえて、出してみました。

でも、仕事のやり方としては、とりあえず最後までやってみるというのは間違っていません。

1㎝前後の小径木を組合したもので、デザインのポイントにもなっている球を握って持ち運べます。

反省点は、1、まだまだ、木が太過ぎ。

2、あんまり幼稚で、正直な形。球がポイントですよ~って、わかり過ぎるじゃろ~が!!もう少し、別の見せ場がいる。

4、白のコードはいけません。等等。

それから、我々は、芸術品を作っているわけではないので、作り方が、確立していて、1日に何個かコンスタントに出来、採算が取れるものでないといけません。大変じゃ~。この手のモノは、イサムノグチの照明とも競合するので、一品物、作家物と言ってもせいぜい¥1~2万がいいとこ、単価的にも難しいのです。

でも、なんとか、プロとして恥ずかしくないものを完成させて、UPします。