木工一覧

ちょっとマンネリか。

3333333 木工で飯を食っていますから、やっております。栗のベンチ出来ました。長さが1700ありますので、貫きを入れました。それでも、3人も座るとたわむと思います。

貫きを入れる作業は割とめんどくさいのですが、応力が分散されるので、耐久性は相当UPします。見た目は、意見の分かれるところです。

このテレスコープ型の脚は、円錐形にふくらみをもたしているのですが、意外に旋盤加工が難しく、よく刃物を研いでおかないとスムーズに切り出せません。

Dsc_0026 これは、脚に貫きを入れる穴を開けるための冶具。脚の形が特殊なので急遽作りました。そんなに精度はないです。

321321 これは、脚の先端を切り揃える冶具です。ものがデカイので丈夫なものを作りました。スッパリ正確に加工できます。体が弱いので、頭を使うようにしています。

最近、注文が途切れずあるのは、有難いことなのですが、段々能率が落ちてきたような気がします。ちょっとマンネリかな。

今年中位に、先の仏壇に収める大日如来を彫らなくてはならないので、運慶を勉強していますが、うーん、これはちょっと・・・・・・出来るだろうか?実際には金銅仏のような、ヘタウマタッチでいこうと思っていますが、粘土ならともかく、木彫りはさらに難易度UPします。でも、出来たら面白いだろうな。


木工もしてます。

なんか、真面目にブログをやり過ぎて、疲れて来たんですが、明日はプールでUP出来ないと思うんで、やっておこう。ところで、アートキャンプンのときは波が良かったみたいで、それだけが残念じゃ~。

Dsc_0019_2 木工も一応真面目にやっています。これは、新たにオーダーのあったスクリーン。空白の部分に、お客様が布を張ります。 上下のバーは湾曲させて脱着します。

これを作るのに一番大変なのは、左右の椿の木を在庫の中から見つけ出すことです。曲がりつつも真直ぐな丁度いい太さの木なんてそうありませんから。半日仕事です。

こういう、趣味性の高いものは納入に不安がともないますが、先ほどお客様からお礼の電話がありました。早速、麻の古布を張ってみたそうです。一安心じゃ。入金もして頂いたようで・・・・ウッシッシ。

昨年よりずっと早く涼しくなってきましたが、まだまだ体と脳は本調子じゃございません。東京のオフィスビルでバリバリ働いているビジネスマンは夏の疲れなんて感じている暇はないんでしょうか。私のモーレツ社員(こりゃ古過ぎ)の頃、当時20代でしたし、夏はこんなに暑くなかったので、比べられません。都心のアパートでもエアコンなしで過ごせたし。


木工家はなぜ貧乏なのか。

木工家が貧乏なのは、経済、市場の仕組みで決まっていることで、なにも難しいことではありません。私もそれに気づいたのは、足抜き出来なくなってからのことで、初めから分かっていれば、木工なんてしてなかったと思います。

木工は、まず作業場がいります。材料は高いです。手道具、電動工具など道具も際限なく必要です。私の場合ショールームも建てており、毎月のローンの支払いは勿論のこと、三相200Vの電気代他、2軒の家庭用電気代がいります。倉庫も借りているので家賃がいります。これでは、少々稼いでも残ることはありません。このように、木工の場合経費がかかり過ぎるのです。その都度、材料を仕入れるとか、山奥の廃校などを利用すれば大分違うかもしれませんが。

工芸の分野で一番貧乏なのは“織り”と聞きます。人間国宝の方でも、マックでバイトするより時給が少ないかもしれません。そして、2番目が木工らしいです。

経費がかかれば、その分高値で売ればよいと考えられるでしょうが、それが出来ない理由があります。ひとつは、なぜか、経費も手間もかかったものほど付加価値がつかないという、芸術界の常識があります。焼き物なんて元は土でっせ、名画の絵の具代なんて、たかがしれてます。しかもすぐ出来ちゃうんですよ。このように、人間はあやふやな、元手のかかっていないものほど、大金を出すように出来ています。私も金があったら欲しいけど。黒田辰秋の木を刳って作った小箱が大体、¥600万。加藤唐九朗の茶碗も同じくらいの値段です。刳り物の箱なんてコツコツやらなければならないですが、茶碗なんて、いい物ほど瞬時に出来ます。逆に付加価値のつかない最たるものは大工さんでしょうか、いくらいい仕事をしても時給ですからね。

もう一つの理由は、これは直に美術商から聞いた話ですが、工芸品が付加価値を生むには、数千点以上の数が流通しないと難しいそうです。やさしく言えばブランド化でしょうか。「うちには、○○先生の皿が3枚もあるざまーすよ!」「なんの、うちなんか猫の皿まで○○先生ざま~すのよ!!」てな具合です。(赤塚不二夫世代じゃないとわかりません)木工家が一年に作れる数なんて本当にしれています。そこを、弟子をたくさん取ることによってクリアーした木工家もおります。しかし、そうなると経営者としての自覚も要りますし、気ままな二日酔いなんて出来なくなるのです。

同世代の陶芸家や、弟子取ってる漆芸家が高級外車に乗っているのを見るとちょっと羨ましいけど、わびしくもあります。「もっと、勉強に使えよ!」私は貧乏すが割と満ち足りています。この辺が木工の面白いところでもあります。 


難破船

Dsc_0002 これは何でしょう?

実は、先の仏壇の金具作りの時、事前に鉄の銀ロウ溶接を練習した残骸です。

広い鉄板と小さな部品を同時に赤めるのはかなり難しいんですよ。でも、コレ難破船みたいで、いい雰囲気出してます。

今度暇なときに、拭き漆の小箱に、小さな動物のつまみの付いた鉄の蓋をつける・・・・・なんていいんじゃないでしょうか。うううっ・・・・・木工家は台所が厳しいので、簡単に出来て金になる、魔法の商品の開発に余念がないのだ。


納品(10)

やっと、本日、仏壇を納品してきました。肩の荷がおりました。連載10回目ですが、単なる偶然です。

11111_2 扉を閉めるとオブジェみたいでカッコいいんですが、実際はめったに閉じることはないと思われます。写真をちゃんと撮りたかったのですが、時間がありませんでした。漆はもっと薄くなってきますので、金具とのコントラストは強くなります。

お客様も大変喜んでくれ、果物とご祝儀まで頂きました。ありがとうございました。

仏壇の注文は2回目ですが、”あの世とこの世を行き来する”せいか、疲れます。ただ単に金額が張るせいかも・・・・・・・。

Dsc_0099 部屋にも納まりが良くてホッとしました。

でも、今回の仕事、これで終わりではないんです。御本尊の大日如来と左右に控える不動明王と弘法大師も作ることになっているんです。しかし、これには安請け合いの私も自信がなく、うまくいかなかったら納品できませんとことわっています。勿論、仏具屋さんで売っているような精密な彫りは出来ません。他の仕事が一段落したら取り掛かります。

今日は屋台で一杯やります。


金具の製作(9)  

Dsc_0001 金具の製作には相変わらず手間取っていますが、峠は越しました。今回、問題を根本から解決しながら進んでいるのです。

接着剤であるロウ付けは、今まで、何となく成功したり、失敗したりしていましたが、相当練習してデータ化できたと思います。それは大学の金工室でやってたような、座って、地べたに向いてやる溶接のスタイルでなく、一式を作業台の上に載せて、自分は立って、目の位置を近づけてすることで、実現しました。当たり前と思おちょったが、ありゃ~土方のやり方じゃった。

Dsc_0013 もうひとつ、はみ出した銀ロウは目立つし、除去しにくく、困っていました。今までは、磨きをかけて上手くごまかしていたのですが、今回は黒焼きですのでそうもいきません。ヤスリがけではなかなか落ちません。

金工家のF クンに聞くと「そりゃ~、ホビールーターとかで物理的に落とすしかないね~」おお!!その手があったか!聞いてみるもんですね~。私は体が弱いんで、機械が大好きなんです。

しかし、昔買ったレクソンはすぐに壊れたし、上のマキタは6㎜軸で、でかすぎる。(エンジンのポート研磨とか出来ます)ホームセンターにもお目当ての機種はなく、近所の友人から借りてきました。思ったより上出来に使えました。(日本語としてはおかしいけど)リョウビのホビールターは大きいのと小さいのがあり、安かったので両方注文しました。プロの場合は、大は小を兼ねるとはいきません。私は力がないので、必要最小限の重量の機械しか持てないんです。

カメラや電動工具は安くなったけど、途上国の労働者や、パート、偽装請負の人たちへの搾取によって出来ていると思うと複雑です。


金具の製作(8)

仏壇の製作もいよいよ佳境に入ってきました。一昨日より金具の製作をしています。

Dsc_0029 最初のころは、まちまちだった蝶番も最近は、正確です。やるもんですね。今回は扉が重いので、1,6㎜厚を使っています。このように、アウトラインに凹んだ曲線が使われていると手間が倍以上かかります。コンターマシン(金属用バンドソー)がないと大変です。

Dsc_0009本格的な漆焼きを試みましたが、どうも、ノッペリした感じで、栃が引き立ちません。オーソドックスな綿による黒焼きに決定しました。このトースターは温度調節が出来るすぐれもので、また役に立ってくれるでしょう。

金具は製作もさることながら、着色も悩みの種です。木工が終わって、もうひとつ作品を作っているようなもんで、しんどいですな~。

Dsc_0007 これは引出しの部分。パソコンから直接型紙が取れるので便利です。と言っても、十分使いこなせてないので、修正します。四つ折りにして、ハサミで切り、展開します・・・・・凄いアナログやんか。やっぱりハサミの線の方が好き。

もう、納期を遅らすわけにいかないので、明日も仕事じゃ。たまには良かろう。


拭き漆終了 (6)

Dsc_0005 拭き漆が終わりました。今回は6回塗りです。もう、2回ぐらい塗っても良かったんですが、キリないですから。自分で言うのもなんですが、結構迫力あります。まあ、使ってる材の力なんですが。

栃は、導管がない分、ケヤキなんかに比べると、塗は楽でした。以前は多く塗り残していましたが、最近はかたく拭き取ります。

Dsc_0009 現在は、赤く焼けて、どぎついですが、3か月もすれば薄く、透明に近い感じになります。

さあ、これから金具作りですが、これがまた一仕事です。

夏場に、このような大作を引き受けるのは、金輪際止めます。もっと、ショボイ仕事を数こなすようにしたいです。


仏壇の製作 (5)

Dsc_0017 今日は、涼しく、これから海に行きますので、簡単にすまします。すみません。

仏壇は拭き漆の段階に入りました。最初の塗りで、500gも吸い込みました。大食いじゃ~。写真は2回目が終わったところ。栃の場合、最初の塗りでは、ケバくて下品に見えますが、回を重ねるごとに、しっとりと落ち着いてきます。でも、ちょっと派手かも。

写真中央に見えるのは、板物を立て掛ける櫛。今回専用に作りました。この辺がプロのテクニックじゃ~。機械があれば、誰でも出来るんですが。左手前に見えるのは、茶托というか、コースター。端切れでたくさん作っていて、余った漆はチューブに戻せないので、これを塗ります。

Dsc_0006 高杯もなんとか出来ました。栃はたっぷり肉厚にする方が良いようです。


引出しの底板。

今、ちょっとだけ雨が降り始めました。このままでは、四国は干上がってしまう。それから、本日、また雀が落ちてきた。この調子だったら、むしって冷凍しておいて、屋台「六平ちゃん」に卸そうかな。

愛知県の木工仲間、齋田 さんのブログで引出しの底板のことが取り上げられていて、昔の話を思い出しました。コメントするには長過ぎるのでここで紹介します。

もう、10年以上前ですが、高知市のギャラリーで西日本では結構名の知れた、中堅の木工家の個展が開かれていた。私も好きなタイプの仕事で、ギャラリーのオーナーに紹介してくれるよう頼んで、出かけた。

その中に、、太いクスノキの丸太を立てて、そこに、背もたれと座を彫り込んだ一品モノの椅子があった。背は絶妙にカーブしていて、鑿跡も鮮やかだ。片方にガッチリと肘掛がはめ込まれている。価格は¥80万。このような商品はすぐ売れるわけではないでしょうが、他にないので、悪くない価格設定だと思います。

その肘掛には、小さな引出が付いていて、文庫本や喫煙具をしまうことが出来る。ただ、その底板が、白いシナべニアだったんです。全体が濃い色の作りだったんで、目立ちます。非常に口の悪い私は、まだ駆け出しだったにもかかわらず「え~!!¥80万の椅子の引出がべニアですか~!?」と言ってしまったんです。もちろん、しばらく談笑した後のことですが。まあ駆け出しだから言えたんでしょう。先生はややひきつっておられました。でも後でオーナーによれば「アイツはことが分かっているので、モノになるかもしれん」と言っておったそうです。

この場合、底板はすごく変わった杢板を選ぶとか、ブラックウォルナットに卵の殻で髑髏を象嵌するとか、遊びがあったら、すごく良かったんですね。先生は大作を完成させるのに一杯一杯だったんでしょう。素人の方が冴えてる時もあるんです。

しかし、私は”お口”で人生大分損をしています。悪気はないいですがね。口が上手かったら、もっと家具も売れてるだろうし、そもそも、こんな地味な仕事はやってないでしょな~。でも、最近結構商売上手かも。