Yチェアー考察 (上)

久々にYチェアーの張り替えの仕事が来た。厳しいこのご時世に貴重な現金収入だ。なんかバイトしてる感じだ。しかし、間隔が微妙に開くので、やり方をいつも忘れてしまっている。でも肝心の所は体が覚えていて、始めると後は早い。

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今回の2脚は今までで一番状態が良く、肘かけが一ヶ所外れていただけだ。すごく嬉しい。実は、Yチェアーはガタガタになったものが大半で、中には致命的な破損があって、ちょっと修理の難しいものもある。例えば、背もたれのYが折れたものなんか、積層でパーツを作り直すほどウチは暇じゃないし。あんまりひどいと、張り替えは気の乗らない仕事になってしまう。

Yチェアー信奉者には申し訳ない話になりますが、構造的に弱いのでは・・・・・という話は明日にして、長年?木工をやってきた私が感じるのは、材料の乾燥が十分おこなわれてないのでは、ということだ。

外れた部分を見ていると、長年の使用によるヘタリというより、乾燥によってスポスポになったように見受けられます。

実は、木材の人工乾燥は大変難しく、根拠があって言う訳ではないけど、日本が一番進んでいるように思います。例えば、高知県の“乾燥師”は世界で教えているし。木は一定でないので、感性とか目分量とかが必要なようです。

それから、この構造は、材料を吟味して、出来れば一つ一つのホゾをすり合わせるような精密さ、手間がが要ると思います。つまり、量産には向かないと思います。しかし、実際はPPモブラー社の中では安価な量産椅子なんのです。スーパーレジェーラ等と比べると明らかに雑な作りで、貫の部分なんかは研磨が十分でなくてザラザラしています。

「ハッ!ざまーみろ、世界の名作椅子を散々こきおろしてやったわい」

と言いつつ、考えた人も考えた人だけど、作る方も作る方だな。逆に言えば、量産椅子でここまで出来るのかと、考えさせられます。デザイナーがモデラーも兼ねてないと無理ですね。

真面目な話を書くと、時間もかかるし疲れます。