手鉋の伝説

今日は久々に木工家専用の話です。

木工の本なんかには、「手鉋で仕上げたテーブルトップは輝きが一味違う!」なんて書かれていて、長いこと 「どうなんじゃろ?」と疑問に思っていた。

私はテーブルトップに手鉋なんて絶対しません。疲れるから。汗も出るし。

先日、通い盆を漆で塗った時、ホウの手板で実験してみました。

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全体に少し縮杢が出ています。左が手鉋+ペーパー240番。中央が自動鉋+ペーパー240番。差は全く見られません。まあ、どちらもサンドペーパーをかけたわけですから。

仕上げで重要なのは(自戒の意味も込めて)、鉋盤の刃物が良く切れていることだと思います。これが切れ止んでいると材料を叩くので、2回や3回手鉋をかけても、ナイフマークは取れません。

右の板は、手鉋のみです。実は「手鉋仕上げでは、ツルツル過ぎて、塗料がのらない」という伝説もあり、やってみました。

手持ちの鉋はどれも切れ止んでいて、一番ましな陣太鼓でやりました。今思えば、槍鉋を使えばハッキリしたのにな。

逆目が出るので、表情が豊かになりますね。普通に漆がのりました。

テーブルトップには逆目は禁物ですが、檜を拭き漆で仕上げる時なんかは、酷い逆目が出ている所が特にカッコいいんですよ。