商売のいい話。

こういう、世の中になれば『木工商売』も作ることより売ることに力を入れないとやっていけないような気がします。所詮、木工なんて4本の手足があれば、誰でも出来ますから。実際、デパートでの個展の時も、じっと品定めしている母ちゃんの横で、旦那が「俺が作ってやるから」と、ささやいているのを何度も聞いています。

以下は、ちょっと自慢話。今年の5月のグループ展『名古屋の木工家ウイーク』での販売は、何のツテもなく、バンバン売れるという噂とは逆に、最悪の事態も予想されました。そこで、地元高知のお客様の1人が名古屋出身であることを思い出し、図々しいとは思いながらも、無沙汰を詫びて、友人知人にDMを送ってくれまいかと頼みに行きました。

Aちゃんは快諾してくれたが、結局誰も来なかったので、絶対に忘れていたのだと思います。ま、そんなわけで、予想通り売り上げゼロを達成したのでした。名古屋には、飲みに行ったんですからいいんですが。

でも、その時の営業のお陰か、先月Aちゃんはスプーンの補充に寄ってくれました。今月は玄関周りを改装したとかで、バンダジやら何やら買ってくれました。更に、そこに置いてある下駄箱を「こりゃ~、ひでーわ」なんて言っていると、新しいのを注文してくれました。ただし「すぐ作ってくれ~」と言って、土間で大の字になって手足をバタバタさせるので、東京の個展に持って行く予定だった“曲面バンダジ”はお預けです。金具のデザインを考える余裕が出来てかえってよかったかもしれません。

でも、下駄箱は1週間やそこらで出来るのかな?あんまり早いとお金貰いにくいしな。困ったな。今日はパソコンでデザインしながら、桂の木の荒木取りをしていました。同時進行でやらないと間に合いません。桂は直径1m以上の大径木で、急ぎの仕事でも狂いがなく、使えます。

成果のなかった名古屋のグループ展が意外な形で注文に結び付きました。商売も、努力すれば報われることもあるんですね。これから、しがない木工家は、やれることは全部やって、何とか生きていけるっ、ちゅー世の中になると思います。明日は、逆に、悲惨な商売のお話をしてみたいと思います。