やまぶき (前篇)

山中の居酒屋「やまぶき」の常連客は奇人変人ばかりでした。

その中の一人、Mちゃんは少し頭が足りません。6尺の大男で、顔もいかつい。でも、目は可愛いかも。ずっと以前は○○の売人をしていたそうです。売人はついつい商品に手を出して廃人になってしまうことがあるようですが、幸いそういう知恵はなかったらしい。店で気に入らない客に殴りかかり、大将に説教されたこともあったな。

私とは大の仲良しで、「3年も入っちょったとね~。」「2年と5ヶ月でスゥ~。」てな具合です。しかし、政治の動向等は良く知っていて、こっちが化かされているような気がしないでもありません。

按摩の技は天才的で、よく客の肩を揉んで酒代をせしめていました。怪力ですが、実にソフトに揉んでくれます。「それって塀の中で教わったが~?」「違いまスゥ~。」

多分、夜勤の日以外は早くから来て、日本酒一升は飲んでいました。大将が言うには、「若い頃は2升飲んでもシャッキやったな~。ほんとに惚れ惚れするような飲みっぷりやったで。」ツケの払いも滞るのに呑気なものですね。

話は明日に続きます。(私の話はフィクションが含まれています)

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山の仕事を終えてTちゃんとRちゃんが将棋で一杯。