木工一覧

拭き漆終了 (6)

Dsc_0005 拭き漆が終わりました。今回は6回塗りです。もう、2回ぐらい塗っても良かったんですが、キリないですから。自分で言うのもなんですが、結構迫力あります。まあ、使ってる材の力なんですが。

栃は、導管がない分、ケヤキなんかに比べると、塗は楽でした。以前は多く塗り残していましたが、最近はかたく拭き取ります。

Dsc_0009 現在は、赤く焼けて、どぎついですが、3か月もすれば薄く、透明に近い感じになります。

さあ、これから金具作りですが、これがまた一仕事です。

夏場に、このような大作を引き受けるのは、金輪際止めます。もっと、ショボイ仕事を数こなすようにしたいです。


仏壇の製作 (5)

Dsc_0017 今日は、涼しく、これから海に行きますので、簡単にすまします。すみません。

仏壇は拭き漆の段階に入りました。最初の塗りで、500gも吸い込みました。大食いじゃ~。写真は2回目が終わったところ。栃の場合、最初の塗りでは、ケバくて下品に見えますが、回を重ねるごとに、しっとりと落ち着いてきます。でも、ちょっと派手かも。

写真中央に見えるのは、板物を立て掛ける櫛。今回専用に作りました。この辺がプロのテクニックじゃ~。機械があれば、誰でも出来るんですが。左手前に見えるのは、茶托というか、コースター。端切れでたくさん作っていて、余った漆はチューブに戻せないので、これを塗ります。

Dsc_0006 高杯もなんとか出来ました。栃はたっぷり肉厚にする方が良いようです。


引出しの底板。

今、ちょっとだけ雨が降り始めました。このままでは、四国は干上がってしまう。それから、本日、また雀が落ちてきた。この調子だったら、むしって冷凍しておいて、屋台「六平ちゃん」に卸そうかな。

愛知県の木工仲間、齋田 さんのブログで引出しの底板のことが取り上げられていて、昔の話を思い出しました。コメントするには長過ぎるのでここで紹介します。

もう、10年以上前ですが、高知市のギャラリーで西日本では結構名の知れた、中堅の木工家の個展が開かれていた。私も好きなタイプの仕事で、ギャラリーのオーナーに紹介してくれるよう頼んで、出かけた。

その中に、、太いクスノキの丸太を立てて、そこに、背もたれと座を彫り込んだ一品モノの椅子があった。背は絶妙にカーブしていて、鑿跡も鮮やかだ。片方にガッチリと肘掛がはめ込まれている。価格は¥80万。このような商品はすぐ売れるわけではないでしょうが、他にないので、悪くない価格設定だと思います。

その肘掛には、小さな引出が付いていて、文庫本や喫煙具をしまうことが出来る。ただ、その底板が、白いシナべニアだったんです。全体が濃い色の作りだったんで、目立ちます。非常に口の悪い私は、まだ駆け出しだったにもかかわらず「え~!!¥80万の椅子の引出がべニアですか~!?」と言ってしまったんです。もちろん、しばらく談笑した後のことですが。まあ駆け出しだから言えたんでしょう。先生はややひきつっておられました。でも後でオーナーによれば「アイツはことが分かっているので、モノになるかもしれん」と言っておったそうです。

この場合、底板はすごく変わった杢板を選ぶとか、ブラックウォルナットに卵の殻で髑髏を象嵌するとか、遊びがあったら、すごく良かったんですね。先生は大作を完成させるのに一杯一杯だったんでしょう。素人の方が冴えてる時もあるんです。

しかし、私は”お口”で人生大分損をしています。悪気はないいですがね。口が上手かったら、もっと家具も売れてるだろうし、そもそも、こんな地味な仕事はやってないでしょな~。でも、最近結構商売上手かも。


仏壇の憂鬱 (4)

昔は、「お盆のときは、地獄の釜の蓋が開くので、川で泳いじゃならん」と年寄りに言われたもんですが、今はどうなっとんじゃい!

仏壇の製作は佳境に入っていますが、仏具もやっていますので、時間がかかっています。本日は高杯の製作中に刃物がロックしてバラバラに飛び散るというアクシデントがありました。クワバラ、クワバラ。老眼も挽き物には具合が悪いです。

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ところで、今回の仏壇、側板と天板、底板がブックマチングです。ブックマッチは、片面は木目が左右対称になるんですが、反対側は模様は合いません。座卓などの場合は、当然、表面が左右対称になるようにします。

そこで、今回の場合、ご先祖様や御本尊が主役なら内側にブックマッチングの面が来るようにしなくてはなりません。しかし、彼等が本当にお盆に帰ってくるかわからないし、現生の我々からすれば、目につく外装が美しい方がいいわけです。仏壇をマジマジと覗き込んで「内側にブックマッチングの手法が使われてますねー!渋いっすね~!!」なんて言う人は万が一もおりません。

今回の場合、和室の仏壇用のくぼみに収納されるので、内側にブックマッチングをもってきました。これとて、50年後には、どこに移されるかわからないので、正解なのかどうか・・・・?仏壇作りはいろいろと頭を悩ますことが多いのです。でも、わりと興味を持って製作できるのは、年取ったせいでしょうね。

*この仏壇シリーズは、ものがものだけに、施主様の了解を取って連載しております。


栃の仏壇 (3)

Dsc_0005_2 栃の仏壇の木地がなんとか仕上がりました。扉は外した状態です。お盆に間に合わせる、ユルイ約束でしたが、非常に微妙な状況です。

この後、表面を研磨し、拭き漆と金具の製作をしなくてはなりません。経机と高杯なども共木で製作するのですが、間に合わせるには、それは後回しにしなくてはなりません。

私は、もともと納期のシビアな仕事はしませんし、(百年もつものに、そんなに焦ってもらっては困ります)段取りも良く、仕事は早いんですが、今回は特別です。

1、何といっても暑すぎる。コンマ数ミリの箱モノの仕事をするには不向きです。凡ミスが相次ぎました。これほど温暖化が進むと、夏場は、頭を使わなくてもよい仕事をかまえなくてはなりません。

2、ミスして、新たに材料を構える場合、栃は狂うので、荒取りして2,3日様子を見なければならないので、すぐの話じゃないんです。10㎝幅の板を、半分5㎝に割っただけで双方変形してしまうのには閉口しました。乾燥が不十分というわけではなく、応力のバランスが崩れるようです。

3、袴の部分が四方転びで、そこに引出が付くという複雑な構造を敢えてとったのも、遅れた理由。でも、こんな仕事は、我から望んで困難に立ち向かうような性格でないと上達はありません。「もっと、いじめて~!!」・・・・・・・まあ、そっちの方は普通です。

4、本体だけなら間に合うかもしれませんが、経机や高杯も同時に作った方がバランスが取りやすいです。

そんな訳で、お盆に間に合いそうにないのです。すみません。


トチ狂う。 (2)

Dsc_0011 先日、輪島屋善仁の山下さんが営業に寄ってくれた。輪島屋善仁は、いまだに行商がメインの最も優れた漆器の製造、販売会社だ。

今回は、金もなく、無駄足を踏ませてしまった。ゴメ~ン!!

山下さんに、「現在製作している、栃の仏壇の木地が狂う」と愚痴っていると「そりゃ~、トチ狂うと言いますでしょう」とのこと。そうだったのか~!

Dsc_0009 栃では、座卓のような分厚いものを作ることが多かったので、あんまり実感がなかったのですね。

この栃、2寸に製材して、天日で2年、倉庫で4年保管していたものだが、人工乾燥していたら、もっと狂わなかったのでしょうか?

おかげで、荒取りから、仕上げまで3度に分けて様子を見ながら削っていくという手間を強いられています。写真のように組んでしまえば、大きく動くことはありません。しかし、裏板用に15ミリで製材していた材は、反って使い物にならなくなり20㎜でやり直しました。

漆で仕上げると、少し派手かましれません。かなり、おとなしく、上品な杢を選んでいますが。

Dsc_0011_edited1 ところで組立機、なにやかやと重宝しています。仮組にも便利です。出来れば、分解機も欲しいです。今はジャッキを使ったりしています。

写真は本番です。私の場合、あり組の箱は、しばらくしてから、クランプは外して放置します。クランプするとどうしても板が内側に反ってしまうので正確な直角が測れないし、妙な力がかかってしまう恐れがあります。

プレス機なら問題ないでしょう。すぐにクランプを外しても、あり組の場合はさほど問題もなく、ガチガチに組み上がります。


やっと出来!!

Dsc_007700051ずっと悪戦苦闘していたコレクションボックスが出来ました。この形状は、はじめに材料ありきで出来ました。昔あるところに、丁度の広さのケヤキ板がありました。しかし厚く、さりとて2枚に割ると薄すぎるので、このような形状に挑戦してみました。

私らしくないかもしれないし、成功しているかどうかもわかりません。しかし、挑戦は良いことですし、進歩をもたらします。でも、挑戦は採算取れないので、時々にしたいのだ~!!

蝶番は、局面に取り付けたのでは開閉できないので、同一平面に座繰りしてから嵌め込んでいます。今回、はっきりわかりましたが、金具は全体の雰囲気を決める重要なファクターですが、結局手間も、本体と同等とは言いませんが、同じくらい要ります。それなりの覚悟が必要です。(お客さんからもっと、お金をもらわんといかん。)

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どうも、ロウ付けが上手くいかないと思っていましたら、老眼でフラックスが融けた瞬間を見極められないのだと、気が付きました。裸眼、近視のメガネ、溶接ゴーグル、これらを単独、もしくは組み合わせて使わなくてはならないので大変です。

でも今回、金工に目立った進歩がありました。苦労はするもんですな~。本日から工房は金工室から木工室に戻っています。


鍛金作業

Dsc_00080001_1 現在制作しているコレクションボックスの蝶番が曲面に取り付くため、ぴったり曲げるのに苦労していました。なんとか、自力でごまかせましょうが、ここは次の仏壇の金具のこともあり、曲げの基本を習うために、造形師の藤田君を訪ねた。

彼は鍛金が得意のようだが、彫塑もするし大工仕事も出来るので、時々手伝ってもらっている。今回、初めて仕事場にお邪魔したが、ウ~ン、やっぱり道具が一杯いるんだな~。

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鉄の角材を削って、叩き出すため雌型を作っているところ。しかし、この方法では、上下で形状が違うため、片側2枚分の型しかできなく、手間がかかり過ぎるのでやめる。でも、少量だったら堅木で代用することも出来、使えそうだ。

Dsc_00190003_1 結局、さほど特殊な道具を使うことなく叩き出して曲げてしまう。ハンマーは何種類か揃えなくてはならないな。先に心棒の入るパイプ部分を作ってしまったのが失敗のようだった。何事も経験じゃ。

今回は大変良い経験になりましたが、本業は木工ですので、こんな所で足踏みしているわけにいかず、とっとと品物を仕上げて、次の仕事をしなければ飯が食えません。職人はつらいジョ~!!

かといって、外注するほど予算はなく、微妙な部分は自分でやるしかありません。でも暑すぎてそんなに頑張れません。


本当はこっちが好き。

Dsc_0012 久々に、木工の話題です。でも、内容は金工です。

蝶番などの金物を作る鉄板がなくなったので、高知市内の北村商事へ買い出しに行きました。

今回は、0.8、1、1.2、1.6ミリ厚の鉄板を買った。先に事務所で支払いを済ませ、指定された番号のゲートへ車で行き積み込んでもらう。広い。そして、私の鉄板は薄い。そして、鉄は高くなった。高過ぎじゃ~!!

Dsc_0023 荒取りは、コンーターマシンよりジグソーのほうが速いです。通常は雨ざらしにして錆びたものを使いますが、今回はまっさらで挑戦。

Dsc_00010001_1 金工バイスに挟んで叩きながら蝶番の形にしてゆきます。最初はコツを忘れているので上手くいきません。

ちょっと、取り付ける扉が凸面なので直径45ミリのくぼみに納まるようにします。

これから、仕上げと、着色なんですが、木工と同じで、こちらのほうが手間がかかります。

タイトルは「本当はこっちが好き」ですが、本当はどっちも嫌いです。も~こんな地味な仕事嫌じゃ~!! 山間部の温泉か、海辺のテラスでゴロゴロしたいです。


栃の白い肌 (1)

Dsc_00150001ここ2,3日、栃の仏壇の木取りをしていた。

ちょっと、写真の撮り方が悪いのですが、シンプルな仏壇でも、箱物は相当な木の量が必要になる。しかも、扉や引き出しが開け閉め出来ないとまずいので、正確な寸法、平面でないといけない。

今回、比較的狂いのない6㎝厚の板を半分に割って25㎜の主要な材料が取れた。割合無駄のない木取りができた。ちょっとした端材は高杯なんかに仕立てます。こういうときは、気分がいいい。

多くの板から、おいしい所だけ取って来るなら簡単ですが、何とか3mの板2枚で済ませました。ちょっと面白くない部分は、底板なんかにするのです。

木取りは、やればやるほど上を目指すので、楽になることはありません。このような、天然木の杢板だと尚更です。また、例えば仏壇の場合、扉が閉じていることは殆どないので、扉板に凝っても報われないなど、その器物独特の事情もあります。難儀ですな~。

ところで、栃は普通の木とは逆で、中心部分の赤身が少ないほどいいのですが、この栃には赤身が全くありません。そのような栃は、杢もいいのです。原木市場では、当然、それは丸太の木口を見ればわかるので、みんな張り込んで来ます。熾烈な競り合いに勝たなければゲット出来ません。わたしも、5年ほど前、競り負けた、家具材に丁度いいサイズの真っ白な栃のことが忘れられません。ありゃ~失敗じゃった。そんなに高くなかったのに、久々の競りに呆けていた・・・・・・・でも、妙に女っぽい木ですな~。