木工一覧

木工家の良心

極悪非道な木工家にも、少しは良心というものがあって、たまには心を悩ますことがある。Dsc_00200001

写真は、現在製作しているダイニングテーブルの脚の部分だ。

4本足から2本足のこのタイプになって、一度も4本足を作ることなく、続いている。

脚は、部材の強度と正確な仕口が命だ。

そこで、この材料、シオジなんですが、重さが1,6kg、比重が0,45しかないんです。う~ん、やっぱり軽すぎや。せっかく、ここまで作ったのに~!普通に使う分には問題ないのでしょうが、もしも、地震とか非常の場合を考えると心もとない。(家がペシャンコになった場合はどちらにしても運を天に任せて下さい) それに、イスの脚と干渉するので、柔らかいと傷が付きやすいのです。

じゃあ、なんで、はなからそんな軽い材をと思われるかもしれませんが、このような分厚い材はあまりストックがないのです。本日は、秘蔵の盤から切り出して、作り直していました。いつまでもクヨクヨすりより良かったです。

このような、目の詰まった軽い材は、ヌカ目といって、狂いがないので精密な指物に向いています。それを柱に木取っていたのは、周りにキズがあったとか、そんな理由だったと記憶しています。

* よく、「ケヤキですか。それなら丈夫ですね~。重いでしょう?」なんて言われますが、とんでもない。ケヤキやシオジといった木は個体差が大きく、軽いものと、目が粗く重いものでは比重は倍も違います。使い方も全然違ってきます。山桜のように比重が殆ど変わらない木もあります。不思議です。


個展の実態

昨夜は、馴染みの店で軽く飲むつもりが、結局午前様で、5時間くらい飲んでいた事になる。あ~嫌だ。たまに、街で飲むと、どうせ最後はタクシーだからと、こうなってしまう。

昼飯も、個展期間中は毎日おいしい店にいけるので嬉しい。残念なのは、東来軒の五目中華が好きだったのに、高齢を理由にあっさり店をたたんでしまったことだ。本日は、大丸のすぐ北の蕎麦屋で食べたのだが、看板の着物のばあさんとは別に、べらぼうに感じの悪い仲居がいて頭にきた。もう暖簾をくぐる事はないだろう。

今日は、割合調子良く売れた。やっぱり、個展に詰めるのは、二日酔いがいいのか?

以前、ワインラックを買ってくれたA医師が、ダイニングテーブルを買ってくれそうだが、「天板が10cm短い」と言う。

「そのくらいは、ちょっと引っ張ったり、コスレばすぐ伸びますよ~」と言いながら、実測すると、私の用意したラベルの表示よりより20㎝長くて全然OKでした。相変わらずいい加減です。

「それとバイオリンチェアーを6脚作ってくれ~」と、太っ腹なことをおっしゃいました。金額的には大変結構な話ですが、6脚揃うとちょっと気持ち悪くなりそうなので、「ここは普通のダイニングチェアーでいきましょう」と提案して、話はまとまりました。

そこから、この先生の場合、シビアな値引き交渉が始まるのですが、大丸の営業もタジタジ先生も、私にかかれば”飛んで火に入る夏の虫”ですぐに交渉成立。

ただ、先生は昔から知っているし、いつでも私に直接注文出来るのですが、今回は、デパートと私を立ててくれたわけです。有難いことです。

近所のMさんは、画廊の中で堂々と「フロアライト、あとで、大丸通さず持ってきて~」と言うので、引きずってきてサインさせました。まあ、Mさんの場合、自社で大丸と相当量の取引があるようですが。

こんな感じで、地元での個展は、全く気取ることなく淡々と進んでいくのです。まあ、私の場合、どこでもそんなに変わりませんが。


個展始まりました。

Dsc_00090001_1 ガラ―ンとしてます。ウ~。もっと、お客さんが沢山いるときに撮っとけば良かったな。

本日は、木工のブログ仲間と言うのでしょうか、こういう関係はなんというのか知りませんが、わざわざ徳島県から来ていただいて、2時間くらい話し込んでいました。本名も聞かずじまいでした。ネットの世界は不思議だ。

ほぼ毎日、会場に詰めますので、帰りは高知市の酒場を吉田類ばりにレポートしようかと考えています。でも全然個展の売り上げがなかったらどうしよう?

パーッと使っちゃえば売り上げもついてくるかも・・・・・・・・そういう問題ではないかもしれませんが・・・・・・・・・実は、一昨年の個展、最悪の結果だったんで、今回はとてもお気楽です。

しかし、デパートも儲けてもらわなければならないので、そんな無責任なことを言ってはいけません・・・・・・・・・・・・でも、作家の先生は、これくらいで丁度いいのだ。


大工と鬼六

個展が近づくと、輸送の段取りや、プライスカードの製作やら、慣れてはいても大変だ。木工の場合、毎回引越しをしているようなものだ。個展をしなくても、飯が食えるようなら一番好いのですが。

Dsc_00100001_1 照明出来ました。うんと細い椿の木を使いました。

どうせならと、背を高くしました。これなら、値段も高く出来るし。ウッシッシ。

昨夜は全部、点灯させて過しましたが、結構いいもんです。薄くて、丈夫な土佐和紙を使っています。う~ん、意外にいけるかもしれません。

Dsc_00200003 ところで、この丸ホゾの直径は僅か6㎜です。我ながら上手く組むもんですね。

これには、秘密があります・・・・・・・・・・「大工と鬼六」の話、知っていますか?

暴れ川に橋を架けられず、困っていた大工が、自分の目玉と引き換えに、鬼に橋を架けてもらう話です。

実は私も、鬼と契約しているんです。それは、ホゾをピッタリ合わす代わりに・・・・・・・・・・・大嫌いな酒を毎日飲むように言われているんですぅ~。ヒャ~!!

大工は、鬼の名前を言い当てて、契約を解除してもらうのですが、私の場合はうまくいかず 「うんにゃ、違う!違う!」と言われてしまいました。

最近、どうやら酒が好きになってきたようなので、次は、身の毛もよだつほど嫌いな、美女に囲まれるよう契約を替えて貰いたいのですが・・・・・・・・。


製材する。

Dsc_00100001 今日は、昨日と違って朝から大忙しだった。

11時まで仕事をして、近所の杉本神社の春の大祭に詣でる。

次に。その隣にある、町営・ギャラリーコパの若手紙漉き職人の展示会を覗く。毎年、”貧者の一灯”で買い物をする。今年は折りよく、照明用の和紙をもらう。しかし、和紙業界もなんとかならんもんかね。木工より厳しいかも。

昼飯を食べて、先日買った、ホウと栗の製材に出発じゃ~!! 今日は、お昼寝はなし。

Dsc_00250002 初めての双名林業、3人がかりで、積み込みまでやってくれて、超楽チンでした。

ここの製材機は、帯鋸の横に、コントロールパネルがあるタイプですが、私はやっぱり、移動する台車の後端に、運転席のあるタイプが好きです。一長一短ありそうですが、銘木の加工には向いていると思います。第一カッコいい。

今回の、製材量は1,5立方で、楽々車に載りました。ハイエーススーパーロングは1トン位載せても、ビュンビュン走るし、ブレーキも効きます。よく働くわ。

Dsc_00370003 幸い、腰の調子はいい。桟積ではなく立て掛けて乾燥させる事にした。しかし、一人では辛い。写真はホウ。

今回、実験的な製材をしているのですが、今は秘密です。(見ればわかるんですけど)

段取りよろしく、たった半日で済んでしまった。

昼寝をしなくても働けるもんですね。


プロトタイプ

本日は、昨夜、御呼ばれした”駅前酒場”で飲みすぎて、二日酔いだった。だいたい、一昨日も飲みすぎて、軽くお付き合いするつもりが、そうでもなかったようだ。不思議だ。個展も差し迫っているのに、たるんでいる。

しかしまあ、高知大丸の個展は15回目ですので、それなりに抜かりはないのですが。

Dsc_00460002 ところで、私の作っているのは家具ですから、そうそう、新作も出来ず、楽しい会場作りには、いつも頭を悩まします。

今回は、いの町特産の手漉き和紙を使った照明を考えてみました・・・・・・・・ちょっと、ひどいですね~。プッと噴出した方もいらっしゃるでしょう。そうです、本来ならプロとしてお見せできないレベルなんですが、ブログですからあえて、出してみました。

でも、仕事のやり方としては、とりあえず最後までやってみるというのは間違っていません。

1㎝前後の小径木を組合したもので、デザインのポイントにもなっている球を握って持ち運べます。

反省点は、1、まだまだ、木が太過ぎ。

2、あんまり幼稚で、正直な形。球がポイントですよ~って、わかり過ぎるじゃろ~が!!もう少し、別の見せ場がいる。

4、白のコードはいけません。等等。

それから、我々は、芸術品を作っているわけではないので、作り方が、確立していて、1日に何個かコンスタントに出来、採算が取れるものでないといけません。大変じゃ~。この手のモノは、イサムノグチの照明とも競合するので、一品物、作家物と言ってもせいぜい¥1~2万がいいとこ、単価的にも難しいのです。

でも、なんとか、プロとして恥ずかしくないものを完成させて、UPします。


原木市場

本日は、久々に原木市場に丸太を買いに出かけた。

Dsc_00330001 本当ならば、何度か下見をして作戦を立てておかないとと失敗するのだが、今回は、情報も入っているし、ちょっとだけしか買わないので、今朝出かけた。

丸太を買えるようになるには、最低5年はかかるだろう。いや10年か?私も駆け出しの頃は、買う金がなくても、顔だけでも覚えてもらうために、必ず市の立つ日には出かけたものだ。いろいろの駆け引きがあるので、木を知ることは勿論だが、人も知らなくてはならない。

旗を持っているのが売り子で、客を笑わせながら、時に脅迫しながら売っていく。ユーモアのセンスと、場を読む力がなければ務まらない。雑木は若手が担当し、高額商品は熟練者の出番だ。行司みたいなもん?

市場の事を話せば、本一冊軽く出来てしまうだろう。

今日は、ホウを1本のみの予定だったが、病気が出て、栗も買ってしまった。丸太買いは、デパートの買い物とは違います。商品を小脇に挟んでルンルンで家路を急ぐわけにいかない。

輸送代など大したことはないが、製材での賃挽料がかかります。勿論これには立ち会わなくてはならないし、(それが楽しいのですが)持って帰れば、乾燥の為の桟積みの重労働が待っている。大きな盤だとユニックや人手が必要だ。後々、ず~っと手間がかかるんです。

そんだもんで、ウ~ンと高い木を買っておいたほうが、手間は同じなんで得なんです。昨年ルーターマシンを買わなかったら・・・・・・・・・いや朝日クラフト展でグランプリ獲っていたら、絶対・・・・・・・手前の兄さんが座っているケヤキを買っていたのにな~。

以前は、ケヤキのいいものは千万単位だったのですが最近は安くなっています。


お越し下さい。

Koten2008 個展の案内状出来ました。

場所は高知大丸です。葉書をコピーして張り込んであるので、あまり綺麗じゃありません。

吉良修の文字組みが、よくありません。いつも、DM製作の頃はバタバタしているので、毎年修正するのを忘れてしまいます。まあ、業界人にしかわかりませんが。

正解は・・・・(吉と良が離れ過ぎ、もしくは良と修がくっつき過ぎ)

ところで、最近、空気が乾いているので、直径10センチの集塵機のホースで仕事場を掃除していると、おが屑が流れるせいでしょうか、強力な静電気が発生して、靴に付いた塵なんかが逆立ってきます。機械に触ると、スタンガン状態です。

本日は、指先と機械の5センチの空間に幅2ミリの、紫色の稲妻が走りました。御茶ノ水博士によると、10万ボルトは出ているそうです。(そりゃ~10万馬力じゃろ~)

怖くて掃除が出来ません。なんとかならないでしょうか?


残念な報告

残念な報告です。しかし、”他人の不幸は蜜の味”といいますし、当ブログの落とし所としては、順当かもしれません。

先日の、朝日クラフト展の結果は、「入選」でした。必勝を期して臨んだのに、あてが外れました。入選というのは、出品料や送料が無駄になるばかりか、他の公募展にもう出せませんし、秋まで返ってこないので、3月と4月の自分の個展にも出せません。最悪です。

Dsc_00200002 しかし、考えてみるに、これは明らかに自分のディレクション不足というか、失敗です。相性が悪かったんですね。

先に、朝日クラフト展は”地味な公募展”と書きましたが、今だから、悔しいし~、はっきり言いますと、審査員が知らない人ばかりなんです。

告知も、自前の新聞紙上に出すだけです。最近は新聞広告が取れないので、スペースは一杯あるんです。つまり、非常に安上がりなんです。文化の香りがしないのは、実はこのためです。新聞社なんてものは、所詮、ブン屋なんでしょうか?文化芸術に関してはさっぱり駄目ですね。そんだもんで、1等賞金200万を目玉にしているのです。それに釣られる馬鹿もいるわけです。

これに対して、ハンズ大賞なんかは、審査委員長の栄久庵憲司をはじめ、写真家の浅井愼平とか、そうそうたるメンバーです。しかも、20年間メンバーが殆ど変わってないのも凄い。

ハンズの場合、営業戦略を兼ねているので当然といえば当然ですが、お金がかかっています。つまり、全体の経費に比べれば、賞金の額なんて微々たるもんです。

まあ、このくらいにしておきましょう。年とると、嬉しいことは素直に喜べますが、失敗からの立ち直りも早くなります。公募展より目の前のお客様を大事にしなければ。

しかし、いずれNew Styleの作品を集めてニューヨークで個展をしてみたい。5年以内に。頑張るぞー!! (すいません。本当はそんなに頑張るつもりは毛頭ありません)

200万貰ったら、iMacの20型を買って、海外旅行にも行くつもりでした。残念じゃ~!!

ホームページも見て下さい。


紺屋の白袴 2

一階の作業場に機械が増えたこともあって、整理棚を2台作っていました。

横切り盤のそばの棚は、カラーボックスですましておりましたが、矢張りこれはいけません。作業場とはいえ妙にテンションが下がってしまいます。自分で作るより、これほど安いものはないんですが・・・・・・・・。

Dsc_00190001_1 ”紺屋の白袴”で手間も材料もかからないように、しかし見栄えはそこそこ、これが案外難しいのです。

今回、木工家の作る、簡易棚の決定的な工法を考え出しました。残念ながら日曜大工では、道具いりますし、技術的にも不可能です。

  1. 1、裏板と棚板は、厚さ7mm前後のムク板を使います。棚板は鉋をかけると刃物がちびますので、鉋をかけなくてもいいです。厚さもまちまちでも結構です。

2、ボンドをつけて、棚板と裏板をハタガネでとめておきます。10分ほどで十分。

3、側板は5mmほどのベニアを使い、裏板と底板にボンドをつけて、、仕上げ釘打ち機でとめていきます。その際、ムクの裏板は長くて薄いので、反っているかもしれませんが、ベニア側に沿わして下さい。

これで、簡単、割と丈夫な棚が出来ます。釘が効くように、片方にムク材を使うのがミソです。ハタガネが裏板1枚に2本いりますので、ボンドが乾く間に、他の仕事をするのがコツでしょうか。ボンドはもちろんたっぷり付けてください。はみ出しても怒られませんから。